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人狼と雷狼竜
雷を纏いし森の王者
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―ジンオウガが更に咆えて閃光が走った!
「ぐぁぁぁああ嗚呼ああああああああああああああああああああああああああ!?」
 全身を襲う痛みに目の前が真っ白になる。
 気付いた時には、俺は地面に倒れ伏していた。全身を襲う痛みは最早無い。ただただ、苦しかった。
 明滅する意識の中、ジンオウガがゆっくりと俺に近付いて来るのが分かった。





「……嘘」
「そんな……」
 それはあっという間の出来事だった。
 増援要請の信号が元で起こった双方の激突。
 相手の攻撃をギリギリで躱すヴォルフが、お得意の撹乱(かくらん)戦術で相手を翻弄しつつ、隙を見た途端に抜刀してジンオウガすら斬ると思った。
 しかし、ジンオウガは更に上手だった。
 ヴォルフは反撃どころか、刀を抜く暇すらなく電撃を受けて倒れ伏した。今は地面に倒れて跳ねるようにと痙攣(けいれん)している。
「ヴォル君、ヴォル君!?」
 神無が叫ぶがヴォルフは返事を返さない。
 神無は今にもヴォルフのもとへ駆け出しそうだったが、そうれは同時にジンオウガの間合いに入ることを意味する。またあの電撃を放たれれば今度は神無までもが倒れることになる。梓はそれを理解して椿と一緒に彼女を抑えている。
 その結果、ジンオウガは倒れて動かないヴォルフにゆっくりと近付いていく。
「あ……」
「ジンオウガが!?」
「ヴォル君!?」
 ジンオウガから稲光の輝きが消えて無数の光玉がその身体から離れた。同時にジンオウガの身体の棘とも言うべき大きな殻が金属染みた重い音を立てて倒れる。
 そしてヴォルフを眼前に見下ろす位置に立った。
 ジンオウガは痙攣すらしなくなったヴォルフを、頭から生えた大きな角で仰向けに引っ繰り返した。
「……」
 ヴォルフはまだ意識を保っていた。荒い呼吸を繰り返しながらも、ジンオウガを見返している。
「ヴォル君っ!」
「あっ!?」
「神無っ!?」
 神無が二人を振り切ってヴォルフへと走った。
 倒れたヴォルフを抱き起こそうとするも、力の抜けたヴォルフは重く持ち上がらない。
 ヴォルフはヴォルフでジンオウガから視線を放さず、動こうともしない。
「ヴォル君……」
 神無はヴォルフを腕に抱いてジンオウガを睨み付けた。ヴォルフを傷つけたこの竜が許せなかった。何故こんな事をしたのか問い詰めたかった。
 ジンオウガはそんな二人を見ていたが、徐に視線を外すと背を向けて歩き始めた。
「え?」
 神無の間の抜けたような声には反応せずに、森の王は歩を進める。
 最後に一度振り返ってヴォルフを一瞥した後、森の王は走り去って行った。
 その姿は王の威容に満ちていたが、同時に孤独を表しているようだった。
「神無! 無事!?」
 梓と椿がヴォルフを抱えた神無に駆け寄
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