イマジンブレイカー
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体から血を吹き出し、地に倒れる。
段々と広がる血だまりを神堂は呆然と眺める。
(俺は…何を期待していたんだろうか)
先程まで感じていた気分の高揚は一気に覚め、途端に冷静になったようだ。
「火織。行こう」
恐らくはステイルの方も終わっているだろう、そう神堂は考えながら後ろで控えさせていた火織の元に踵を向ける。
「…よ」
と、風の音にかき消されそうな程に小さな声が神堂の耳に届いた。
「待てって…言ってん…だよ」
「まだ息があるのか」
少年が死んでいない事に少しの驚きを感じながらも神堂は振り返る。振り返った神堂の視界に映ったのは体中に氷の杭が刺さった血まみれの少年の姿。しかし、肝心の急所の部分には刺さっていない。恐らくはあの一瞬の間に急所に刺さる杭を避けるか右手で防ぐかしたのだろう、と神堂は察する。
本当にそれをしたのならば神堂の目の前にいる少年は普通ではない。敢えて言うなら情報処理が恐ろしく早い。あの一瞬で氷の杭の射線を判断し、急所を避けるようにしらのだから。
「でだよ…!」
「?」
「何で!お前らはそんな力を持ちながらあいつを傷つけた!あんたらの力があればあいつを傷つける必要はなかっただろうが!何であいつに傷つけるような真似をしたんだ!」
自分は今すぐ死んでも可笑しくない傷を負っているのに、そんな時に吐いた言葉は他人を心配する言葉。
何故そこまでして、今日出会ったばかりのインデックスの事を思えるのだろうか。何故そうまでして他人の事を思えるのだろうか。それが不思議でしょうがない神堂は少年の言葉に返事をする事が出来なかった。
「あなたは一つ勘違いしているようですが…私達だってあの子を傷つけたくなかった」
「ならどうして…!「私だって!…私だって彼女を傷つけるような事はしたくなかったに決まってるでしょう…!ですが、あれは彼女の歩く教会の結界が生きていると思ったから…」
少年の言葉に挟むようにして火織の叫び声がこだまする。
いつも冷静な彼女が此処まで取り乱しているのだ。それ程までにインデックスは火織達にとって大切な存在であり、それと同時に今回の仕事をなんとしてでも実行しなければならないのだ。彼女のためにも。
「他に手立てがなかったのです。彼女はこうでもしないとこの世界で生きていくことが出来ない」
「お前…何を言って」
「私とこの人が所属する組織名はあの子と同じネセサリウス。インデックスは私達にとって同僚でもあり、大切な…親友なのですよ」
――――――――――
必要悪の教会―ネセサリウス―
それが神堂や火織、ステイルの所属する組織であり、今回の仕事はネセサリウスから直接くだされた仕事でもある。
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