第百十八話 思いだけでも、力だけでも
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撃に向かうべきだが今はな」
「ああ、それなら心配はいりませんよ」
そこでモニターに金髪に青いスーツを着た男が現われた。
「理事」
彼がブルーコスモスの理事でありアズラエル財団の総帥であるムルタ=アズラエルである。人間としてはかなり癖のある人物として知られている。
「そちらにはもうロンド=ベルが向かってくれています」
「そうなのですか」
「ええ、その中には彼もいますしね。安心していいでしょう」
「彼ですか」
それが誰なのかサザーランドも知っている。
「あのライオンロボ君がね。だからそちらは大丈夫ですよ」
「ですが」
「何、要はアラスカに間に合えばいいのでしょう」
「ええ、まあ」
「それも大丈夫ですよ。ただ、北ですが」
「北極ですか」
「ジブリール君はどうやらヨーロッパ制圧を狙っていますね」
「欧州を」
「そのことをミスマル司令にお話したところ今あちらも戦力が手一杯のようで」
「まだ砂漠の虎の残党が、ですか」
「それとミケーネのゲリラ戦ですね。ネオ=ジオンもいますし」
「兵が足りない、ですか」
「そういうことです。そのたっぷりある筈の兵は日本に集結していますしね」
「あそこまで集める意味があるのでしょうか」
「ないでしょうね」
アズラエルはきっぱりと言い切った。
「まああの長官です。言っても無駄です」
「はあ」
「とりあえずここは彼等に頼るしかありません。僕はそう思いますがね」
「勇者王達にですか」
「あのライオンロボ君とは色々ありますがね」
アメリカで何度も本気で喧嘩をした仲である。どういうわけか彼は凱と無性に仲が悪いのである。
「ですが頼りにはなるのは事実です。あの勇気でね」
「勇気で」
「まあ他にも色々と濃い面々がいるようですし。期待しておいて下さい」
「わかりました。では」
「あとサイクロプスのスイッチですが」
「はい」
「くれぐれも慎重にね。頼みましたよ」
「了解」
こうしてアズラエルとサザーランドの話は終わった。話が終わるとサザーランドは部下に対して問うた。
「そういえばサイクロプスのスイッチは日本にもあったな」
「ええ、そういえば」
「あの三輪長官が何もしなければよいのだがな」
「不安ですね、それは」
「ああ、全くだ」
そんな話をしながらアラスカを守っていた。その間ロンド=ベルはアッツに急行していた。
「ミリィ」
サイがミリアリアの部屋に入って来た。その手には食事を持っている。
ミリアリアは部屋の中にいた。ベッドの上で膝を抱えてうずくまっている。
「少しは食べたらどうだい?ずっと食べていないんだろ」
「・・・・・・いらない」
ミリアリアは俯いたままそう答えた。
「そう、いいの」
「ええ、今は」
「じゃあ医務室に行かないか?」
「医務室に?
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