第百十六話 運命の歯車
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か、まだ二人だけにしかわからないことである。
「参ったな、これは」
アスラン達はモルゲンレーテの側のベンチに腰掛けていた。
「この警護は異常だ。蟻一匹は入れやしない」
「見た目は平和そうなんですがね」
ニコルが言う。
「裏では何をしているのかわかりませんね」
「狐か狸みてえだな」
ディアッカがたまりかねた顔で言う。
「尻尾を掴ませないってか」
「問題は足つきだ」
アスランは言った。
「いるならいる、いないならいないで確証が欲しいな」
「もう出たかどうかか」
「そうなるか」
ディアッカに応える。4
「それによってこちらの動きも変わる」
「そうだな」
それにイザークが頷く。
「どっちなのかな」
「フィリス達は今は待機を続けているそうだ」
イザークが携帯のメールを見て言う。
「だが。長くはいられないだろうな」
「そうですね。やっぱりここは敵地と言っていいですから」
「見極め時も肝心か」
アスランは呟く。
「それは今かな」
そう呟いた時だった。空に何かが姿を現わした。
「トリィ」
「!?」
アスランはそのミドリの鳥に気付いた。それはトリィだったのだ。
(馬鹿な、どうしてここに)
驚きを隠せない。何故ならこれはキラに贈ったものだからだ。
(ということは)
アスランにはわかった。キラが側にいるのだ。自分の側に。それがよくわかった。
「何だ、これは」
「鳥だな」
イザークとディアッカもそれに気付いた。トリィはアスランの手に停まってきたのだ。
「ロボットですね、よく出来ている」
そしてニコルも。三人はアスランの周りに集まってきていた。
「参ったな」
そこにキラがやって来る。
「トリィ、何処に行ったんだ?」
辺りを見回す。ここで彼は見た。
「えっ!?」
(アスラン!?)
(キラ・・・・・・)
二人は今再会した。お互いの顔を見る。
だが名乗ることは出来ない。二人はフェンス越しに互いを見やった。
「あの」
まずはアスランが前に出た。
「この鳥だけれど」
「うん」
ぎこちなく、他人行儀でキラも応える。
「君の?」
「そ、そうだけれど」
アスランに差し出されたトリィを受け取る。トリィは静かにキラの手元に帰って来た。
「トリィ、トリィ」
「有り難う」
キラは礼を言う。アスランはそれを聞いてから帰ろうとする。だが。
「この鳥はね」
キラは語りはじめた。
「昔友達から貰ったものなんだ」
「友達から」
「うん。大切なね。だからこれも凄く大切なものなんだ」
キラは語る。
「だから・・・・・・有り難う」
「そうだったんだ」
「おい」
アスランにイザーク達が声をかける。
「そろそろ行くか?」
「あ、ああ」
アスランは彼等に応える。
「じゃあこれで」
「
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