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スーパーロボット大戦パーフェクト 第二次篇
第百十二話 砂塵の果て
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二人は共に深刻な顔になった。
「だが。今を乗り切らなければ」
「プラントにもコーディネイターにも未来はないか」
「そうだ。まさか無制限戦争をするわけにもいくまい」
「連邦政府だけでなくティターンズやネオ=ジオンもいる」
「そしてミケーネや異星人も」
彼等の敵は一つではないのだ。
「私としてはスピットブレイク辺りで講和に踏み出せればいいと思うのだが」
「その辺りが妥当か」
「どうだ?」
「スピットブレイクを成功させてそれで連邦政府にプラントの独立を容認させる」
「問題はないと思うが」
「そうだな。だが」
「だが!?」
パトリックはシーゲルの言葉に眉を動かさせた。
「それにはプラント内の穏健派と強硬派のバランスがよくとれていなければ」
「私と御前がというわけか」
「そうだ」
シーゲルはパトリックを見据えて答えた。
「私も御前もプラントの為にそれぞれの路線を採っている」
「うむ」
「だからこそバランスが取れている。しかしそのバランスが崩れたならば」
「穏健派に傾けばプラントはティターンズ達に付け込まれ蹂躙されかねない」
「強硬派ならば連邦政府と無制限戦争だろう」
語るパトリックとシーゲルの言葉には何の希望的観測もなかった。あくまで冷徹に事実を見据えているだけだった。
「どちらにしろ厄介なことになる」
「そうだ。だからこそ」
「まずはスピットブレイクを成功させる」
それが絶対条件だった。
「いいな」
「わかった。ではデスティニーを」
「実戦に送り込む。彼に賭ける」
「彼に全てを!?」
「いや、おそらくデスティニーだけでは駄目だ」
パトリックは述べた。
「投入できるだけの全ての新型ガンダムを投入したい」
「わかった。では」
「やるぞ、シーゲル」
パトリックの言葉が強いものになった。その目もまた強い光を放っていた。
「プラントの為に」
彼等はプラントの為に動いていた。だがそうではない者達もいた。
「スピットブレイクの後だが」
暗闇の中で何者かが話をしていた。
「彼には消えてもらおう」
「やはり」
「そして彼を最後の最後で」
「というわけなのですね」
「そうだ」
中央にいる白服の男が答えた。
「全てはそう進めていく」
「成程」
「それならば問題はありません」
「誰も我々の存在には気付いていないしな」
「はい」
「だからこそ」
彼等は闇の中で話を続けていた。
「所詮は俗物」
「そうなるべきかと」
「全ては順調だ」
白服の男はまた言った。
「何もかもな」
「ふふふふふ」
「ははははははははははは」
闇の中に不気味な哄笑が響き渡った。それはまるで世界の滅亡を望む魔界の住人達の笑い声のようであった。

第百十二話完

2006・9・3
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