第百十一話 強襲、砂漠の虎
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・・死ぬの)
アスカの読みは当たっていた。今彼女は憎悪に全てを支配されていた。その為にはどんなことでもしようと。陰惨な決意がそこにあった。
(でなきゃ許さない。パパを助けてくれなかったキラを許さない)
若しここにシンがいたらどうなっていただろうか。そこまで思わせる程の陰惨な憎悪が今彼女を覆っていたのであった。そしてそれは今誰も見てはいなかった。
「う、うう・・・・・・」
「目が覚めたのね」
目覚めたキラに声をかける。
「ここは?」
「地球よ」
「地球」
「そうよ、アフリカ大陸の砂漠の何処かよ」
「そうか。僕は降下した時には気を失って」
「それでね、キラ」
「何?」
「これ」
ここであの折り鶴をキラに差し出した。熱でもう見る影もなくなっているがそれは確かに折り鶴であった。
「マードックさんに渡してくれって頼まれたの」
「あの娘は」
「南アフリカに降下したみたいよ」
「そう、よかった」
まずはそれに安堵した。だが。
「あの濃い人達が出て来てくれたから」
「けれどあの人達が来てくれなかったら」
ブンドル達に対する感謝よりも自責の念が支配していった。
「僕は守れなかったんだ・・・・・・」
「けれどあの娘達は助かったのよ」
「けど・・・・・・」
それでも責任を果たせなかった。それがキラにとっては何よりも辛かったのだ。
「僕は何もしてあげられなかった」
「自分を責めることはないわ」
わざと優しい言葉をかける。
「貴方は一人じゃないのよ」
「一人じゃ」
「キラ、私がいるわ」
ここでキラの頭を抱き締めた。
「大丈夫。私がいるから」
「フレイ・・・・・・」
「だからそんな顔しないで」
恐ろしいことであった。キラはこの時フレイの顔を見ることが出来ない。この時のフレイの顔を見たならば誰もが凍りついたことであろう。誰であろうとも。
「私の想いが貴方を守るから」
フレイは笑っていた。邪な笑みだった。人を陥れたことに喜びを見出し、それを楽しんでいる笑みであった。そのぞっとする笑みで今キラを見下ろしていた。
「だからね」
「うん・・・・・・」
そのまま何も知らないキラを罠にかけていく。キラはその罠にすら気付かない。そしてキラは。フレイの罠に囚われてしまったのであった。
「まずは民間人が無事で何よりね」
マリューがアークエンジェルのブリッジでこう言っていた。
「一時はどうなることかと思ったけれど」
「ガハハ!いいことをした後は気持ちいい!」
「一日一悪!一日三偽善!一日五善!」
ケルナグールとカットナルもそれに上機嫌であった。アークエンジェルのモニターで叫んでいる。
「力を持つが故にあえて身を挺する。それこそが」
「で、次の言葉は」
「あれだろうね」
「美しい・・・・・・」
薔薇を掲
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