第十七話 黒真珠の間(その二)
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当に楽しませてくれる。エネルギー・カプセルは此処に来る前に抜いたんだ。
「貸せ、馬鹿が」
ルッツが的確な評価をするとブラスターをゾンバルトから取り上げ俺に差し出した。不機嫌そうな顔をしている。ルッツだけじゃない、他の連中もだ。心外だな、ゾンバルトが馬鹿をやったからって俺の所為か? エネルギー・カプセルが入っていた方が良かったのか、俺が死んだ方が。“済まなかった”の一言もない。上等だ、お前らがそんな態度取るんなら俺にも考えが有るぞ。
ブラスターを受け取るとポケットからエネルギー・カプセルを取り出した。皆の視線が俺の手元に集中した。ブラスターにカプセルを押し込んでセットする。皆を見渡した、緊張しているのが見える。黙ってブラスターを突き出した。銃口は俺の方に向いている。
「ゾンバルト少将、今度はエネルギー・カプセルが入っています。私を殺せますよ」
「な、何を考えている」
「このまま引金を引くだけで私を殺せると言っているんです」
唖然としているゾンバルトを見てにっこりと笑みを浮かべた。おいおい震えてるよ、こいつ。
「何を考えている、馬鹿な真似は止せ」
「そうだ、エーリッヒ、メックリンガー提督の言う通りだ」
メックリンガーとミュラーが止めようとする。残念だな、もう遅い。
「ゾンバルト少将はローエングラム公に私を殺せと命じられているんです。そうでしょう?」
皆がギョッとした表情で俺を見た。
「馬鹿な、何を言っている」
「隠さなくても良いでしょう、ゾンバルト少将。……普段辺境に居る目障りな海賊がオーディンに来た。滅多にない機会だが部下が周囲を固めている。よって親睦会に招待した。黒真珠の間には一人で来るはずだ。奴は武器を持っている。その武器を奪って事故に見せかけて殺せ……。間違っても命の恩人を謀殺したなどと周囲に言わせるな……」
皆顔が強張っている、ゾンバルトは凄い汗だ。大丈夫か、こいつ。少し安心させてやるか。
「大丈夫ですよ、周りは皆事故だったと言ってくれます。ナイトハルトを除けば皆、私を嫌っていますからね。そう、今ならローエングラム公を誹謗したと言って殺すことも出来る。受け取りなさい、欲しかったのでしょう、これが」
俺がブラスターを突きだすとゾンバルトは後ずさりした。後ろに居たクーリヒとぶつかる。
「いい加減にしろ! 悪ふざけが過ぎるぞ!」
「そうだ、ビッテンフェルトの言う通りだ」
ビッテンフェルトが怒鳴るとワーレンが後に続いた。
「ふざけてなんかいません。本気ですよ」
「……」
黙り込んだ連中を見渡した。にっこり微笑んでやる。おいおい、皆顔が引き攣ってるぜ。
「ローエングラム公からの招待でしたが、どう見ても歓迎されているとは思えない。何か裏が有ると思いましたが案の定です。ゾンバルト少将
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