第十七話 黒真珠の間(その二)
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ファーレンハイトだ。さすがだな、ファーレンハイト。そこに喰いつくか。俺の方を本当か、と言った目で見ている。
「事実です、儲かりますよ。儲けるために始めたわけではありませんが」
今度は彼方此方で唸り声が起きた。やっぱり人間、金には興味あるよな。
「まるで清掃係だな、アムリッツアでも同じ事をしていた」
ザウケンか、よっぽど俺が気に入らないらしいな。嘲笑が響き渡った。阿呆共が一緒になって笑っている。
「その辺にしておけ」
おやおや、ビッテンフェルトが俺を庇っている。悪いもんでも喰ったか、それとも腹が満ちて猪の性格が丸くなった? だがどちらにしても俺には不要だ、俺は阿呆共の相手をするのが大好きなんだ。ついでに言うとそんな嫌々制止されても全然嬉しくない。全部まとめて喧嘩を買ってやるよ。ここには喧嘩に来たんだ。
「その通り、清掃係ですよ。最近は散らかす事は出来ても片付けの出来ない人が多いんです。困ったもんですよ、ウチは他所様の尻拭いばかりしている。少しは自分で尻を拭いて欲しいものです」
俺も笑ってやった。皆顔が強張っている。俺の隣でミュラーが溜息を吐いた。済まんな、ミュラー……。
「貴様、我々を侮辱するのか!」
その通りだ、阿呆。今頃気づいたのか、鈍い奴め。
「落ち着きなさい、ザウケン少将。親睦会で大声を上げてどうするんです、周りが驚いていますよ」
周囲の視線がこっちに向いているのに気付いたのろう。ザウケンの阿呆が一生懸命平静を装おうとしている。可愛い奴、からかい甲斐が有るよな。あらあら、メックリンガーとワーレンが溜息を吐いている。ビッテンフェルトとアイゼナッハは食事に夢中だ、いや食事に夢中の振りかな。お前ら本当に客のもてなし方を知らないよな。ザウケンの方がまだましだぞ、阿呆だけど楽しませてくれる。
ウェイターが傍を通ったので呼びとめた。手にトレイを持ち飲み物が置いてある。アルコールの無い物を確認するとグレープフルーツジュースとジンジャーエールがトレイに有った。迷わずグレープフルーツジュースを取る。それを見て何処かの馬鹿が”子供だな“というのが聞こえた。子供はお前だろう。
「酒は飲まないのか」
ファーレンハイトが問いかけてきた。
「ええ、あまり飲めないんです。それにブラスターを持っていますからね。酔って手元が狂うと危ない」
皆顔を見合わせている。まあ警備以外の人間は非武装のはずだ。どうやら俺がブラスターを持っている事は知らなかったらしい。ルッツが声をかけてきた。
「良ければブラスターを見せてくれるか」
「良いですよ」
ルッツは射撃の名手だからな、興味あるんだろう。雰囲気を変えようと言う思いも有るのかもしれない。ブラスターをパドルホルスターから抜き取りルッツに渡すとしげしげと見始めた。
こういう
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