第十七話 黒真珠の間(その二)
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俺がさっき居た場所もテーブルの近くだったんだがテーブルには誰も居なかった。今は結構人が居る。俺が居なくなるのを待っていたのかな、不愉快な連中だよ。ラインハルトの挨拶が終わると歓談の時間だ。若手の士官達が料理に向かう。あんまりがっつくなよ、みっともないぞ。
トゥルナイゼン達が戻ってきた。テーブルの上に料理を置いて行く。なるほど、自分の分だけじゃない、ミュラー達上級者の分か。軍隊は完全な階級社会だからな、まずは上位者の分を調達か……、それは急いで料理を取りに行くわけだ。がっつくなと言ってもがっつかざるを得ない。そして当然だが軍人では無い俺の分は持ってこない。分かりやすいよな、ホント可愛いぜ。
「エーリッヒ、一緒に食べよう」
ミュラーが困った様な笑顔で俺を誘ってきた、良い奴だな、お前は。
「いや、気遣いは無用だよ。此処に来る前に食事は済ませたんだ。長居をするつもりは無いからね」
嘘じゃない、適当なところでラインハルトと話をして帰る、そう考えていた。
「……そうか、……じゃあ、頂くよ」
嘘でもいいからちょっと食べれば良かったか、ミュラーが切なそうだ……。他の連中もバツが悪そうな顔をしている。嬉しそうなのはトゥルナイゼンとかあの辺だな。まあ正規艦隊司令官クラスと比べると指揮官としての能力も落ちるけど人間としても落ちるか。食べ物で差別とか人間としての品性が露骨に出るな。
「黒姫の頭領、メルカッツ提督はお元気かな」
気を遣ってるのかな、ファーレンハイトが話しかけてきた。
「お元気ですよ、ファーレンハイト提督。今はウチの艦隊を鍛えてくれています」
「そうか……、俺が言うのもなんだが宜しく頼む」
「承知しました、メルカッツ提督にお伝えする事は有りますか?」
「……いや、無い」
「……」
ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ。自由惑星同盟に亡命しようとしたがイゼルローン要塞が陥落した事で行き場が無くなった所を黒姫一家に捕まった。ラインハルトの所に行ってはどうかと勧めたのだが割りきれなかったのだろう、首を縦には振らなかった。ラインハルトには事情を話し俺の所に出向という形で預かっている……。ファーレンハイトはメルカッツとは縁が有る、気になるのだろう。
「ところで黒姫の頭領、イゼルローン回廊で艦の残骸を除去しているそうだが何時頃終わるのかな」
今度はワーレンだ。ま、この中では比較的親しい方だからな……、俺の勘違いかな?
「当分終わりそうにないです。残骸と言っても大きいのになると戦艦が真っ二つになったのとかあるんです。そんなのがごろごろしている。小さいのはその何倍、何十倍と有るでしょう、きりが有りません」
俺の言葉に皆が顔を見合わせた。
「儲かっているそうだが」
「え、儲かるのか」
「そうらしい」
ルッツと
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