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ソードアート・オンライン ーBind Heartー
食べたい男達
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にも関わらず、やはりトーヤはついてくる。
現在の俺のホームタウンは、五十層にあるアインクラッドで最大級の都市≪アルゲード≫だ。ここから三十分も歩けば七十四層の≪主街区≫があり、そこの≪転移門≫から五十層アルゲードへと一瞬で移動することができる。
手持ちの瞬間転移アイテムを使えばどこからでもアルゲードへ帰還することができるが、いささか値が張るもので緊急の時以外には使いにくい。
たが、今がまさにその緊急事態かもしれない。
転移結晶を使えば、確かにこの少年剣士を巻くことができるからだ。転移の音声コードを聞かれるとしても、適当な街に行ってすぐにそこの転移門からアルゲードに帰ればいい。
だが、そうすればトーヤはまた今日のように俺を探して一人で最前線に潜るという無茶をするかもしれない。いつかそんなことで死なれでもしたら目覚めが悪い。
ならば、こいつが納得するまで付き合ってやるとする。うまくいけば今夜の食事代が浮くという利点もあるし。
「実は四十二層に美味しいパスタのお店があるんですよ。良かったらそこでーー」
「知ってるよ。オッサンのNPCがいる店だろ?」
「あれ……? な、なはは。そ、そりゃあご存知ですよね。じゃあ三十五層のチーズケーキがイケてるーー」
「≪風見鶏亭≫だろ。前に行った」
「う……。な、なら五十一層の魚料理がーー」
「ああ、この前行ったな」
「うぅ……!? こ、こうなったら、五十層にあるラーメンっぽい謎の麺類をーー」
「あれはもう絶対に食いたくない」
今思い出しても、あれはひどかった。
ネタを出し尽くしたのか、トーヤはうんうん唸りながらこめかみを押さえる。
俺が知らないような店を探しているみたいだが、一体なにがこいつをそうさせるのか。俺は別にうまければそれでいいんだが。
そのまま俺たちは森に入る。あとはこの森を抜ければ、主街区は目と鼻の先だ。
すると無造作に立ち並ぶ木々の間を進んでいた俺の耳に、不意に聞き覚えのない獣の鳴き声がかすかに届いた。
「あ、そうだ! それなら六十二層のーー」
「しっ……」
むんずっ、とトーヤの口を頬ごと挟むようにして塞ぐ。
意味不明の呻きを無視して、今度は無理やりその場にしゃがませた。のだが、どうやらバランスを崩したらしく、茂みの上にうつ伏せに倒れこんだ。
幸いにも音は大きいものではなかったので、俺は≪索敵スキル≫を発動させる。
このスキルは不意打ちを防ぐ効果ともう一つ、スキル熟練度が上がっていれば隠蔽(ハインディング)状態にあるモンスターやプレイヤーを見破る能力がある。やがて、十メートルほど離れた大きな樹の枝のかげに隠れているモンスターの姿が視界に浮かび上がった。
視線を集中すると、自動でモンスターがターゲット状態となり、視界に黄
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