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スーパーロボット大戦パーフェクト 第二次篇
第百七話 原種の胎動
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ね」
「けどシャア=アズナブルじゃないんですよね、あの人」
キラがよりによって確信をついてきた。
「えっ!?」
サイ達はキラのその言葉を聞いて顔を顰めさせた。
「いやキラ、あれは」
「誰がどう見ても」
「シャア=アズナブルはア=バオア=クーで死んだ」
これがナタルの返答であった。
「今ここにいるのはクワトロ=バジーナ大尉、扱いは大佐だ。それでいいか」
「はあ」
「少なくとも大尉はそう言っておられる。またキャスバル=ズム=ダイクンでもないそうだ」
「何かもう世界の皆が知ってるんですけど」
それでもトールが突っ込みを入れた。
「あれが誰かって」
「それは言うな。一応わからないことになってるからな」
「はあ」
「まあとにかく君達だが」
ナタルはキラ達に話を戻してきた。
「君達はあの日以前に志願兵として入隊したことになっている」
「そうだったんですか」
「そうだ。まあこの部隊ではあまり意味がないが」
「ですかね」
「食堂に集まってくれ。いいな」
そう言って去ろうとする。だがここでフレイが声をあげた。
「あの」
「君は戦っていない以上、特別な手続きは必要ない」
「いえ、そうじゃなくて」
だがフレイは言った。
「私、軍に志願したいんですけど」
「!?」
「フレイ・・・・・・」
「ふざけた気持ちで言ってるんじゃありません。父が撃たれてから私色々と考えました」
フレイは言う。
「もうこんなのは嫌だ…こんなところにいたくないとそんな思いばかりでした。でも、やっとこんな生活から解放されるとわかった時何かとてもおかしい気がしたんです」
「おかしい?」
「これでもう安心でしょうか。これでもう平和でしょうか?」
フレイを見るナタルに対してさらに言葉を続けた。
「そんなこと全然ないですよね。世界は依然として戦争のままなんです!」
「それは確かにそうだが」
「私、全然気付いてなかっただけなんです。父が戦争を終わらせようと必死で働いていたのに」
「それは・・・・・・」
「君とは関係が」
「本当の平和が。本当の安心が戦うことによってしか守れないなら」
サイやナタルが止めようとしてもさらに言う。
「私も父の遺志を継いで戦いたいんです。私の力など何の役にも立たないかも知れませんけれど」
「そうなのか」
「はい」
そしてこくりと頷いた。その時ちらりとキラを見た。
(口ではああ言ったけれど)
彼女はまだキラを許したわけではなかったのだ。憎しみに心を支配されていたのだ。
(貴方も志願するのよ。パパを守れなかった貴方も。そして)
心が悪魔に支配されているのに気付かなかった。それはフレイの心の中にあった、誰もがその中に潜ませている悪魔であった。今彼女はそれに支配されていたのであった。気付かないうちに。

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