第百六話 出会いと別れ
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きだったかな」
「じゃあ時計は」
「それでいいか」
やはりスイスと言えば時計である。ロウもそれには賛成した。アウルに対して答えた。
「スイス製時計、これでな」
「はい」
「御前達にも買ってやるか」
「時計?」
「そうさ、ステラは欲しくないのか?」
「私、時計」
だがその反応は今一つ遅かった。
「くれるの、ギュール」
「ああ遠慮するな」
ロウはそんな彼女にも明るい声をかけた。
「じゃあそれでいいな、三人共」
「はい」
「俺達はそれで」
アウルとスティングに異存はなかった。
「ステラもな。それじゃあ」
「ステラに時計」
「お似合いの可愛いやつ買ってやるからな。楽しみにしてろ」
四人はロウを中心に和気藹々としていた。その前から別の一団がやって来ていた。
「艦長も外出なんですか」
「そうよ」
タニアはルナマリアに言葉を返した。見ればシンとレイ、メイリンも一緒である。
「副長が見てくれているからね。ここは言葉に甘えて」
「何か結構皆外出してますね」
「それはね。たまには気分転換しないと」
タニアは大人っぽい丈の長めのスカートでルナマリアはジーンズ、メイリンは半ズボンであった。それぞれ個性がよく出たファッションであった。
「そうでしょ、シン」
「俺は別に」
だがシンはタニアの言葉に今一つ乗ってはいなかった。
「別に待機でもよかったですけど」
「あら、つれないわね」
「じゃああんた一人でミネルバで何するつもりだったのよ」
「何って別に」
ルナマリアに問われてもシンの態度は変わらなかった。
「トレーニングでもしようかなって」
「あっきれた。あんたってそんなことばかり考えてるじゃない」
「悪いのかよ」
「悪いとかそんなのはないけどね。ちょっとは他のことも考えなさいよ」
「別にいいだろ、俺のことなんだから」
彼女にそう反論する。
「それで御前に迷惑かけているわけでもなし」
「そういう問題じゃないのよ。大体あんたはね」
「何だよ」
「まあまあ二人共」
タニアがその間に入る。
「今は楽しい上陸時間よ。そんなに騒がない」
「艦長が言うなら」
「それに今艦長って言うのはよくないわね」
そう言ってルナマリアを嗜める。
「じゃあ何て呼べば」
「素敵な御姉様でいいわ」
「素敵な御姉様って」
「だって。私だってまだ二十代よ」
「それはそうですけど」
「まだお姉さんでいたいわ」
「そういえば艦長って家族おられるんですよね」
メイリンが尋ねる。
「ええ、男の子がね」
「お子さん、お元気ですか」
「暫く会ってないのよ、これが」
少し寂しい笑みになった。
「戦争中だからね」
「あっ、すいません」
「いいわ、それは。まあ元気にしているのはわかってるから」
「そうなんですか
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