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とある完全模写の物語
上条 当麻
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と言われれば、誰しも銀色の両刃の剣を思い浮かべるだろうが、神堂の手に握られている剣は漆黒の色を宿していた。

 突如として現れた剣に少年は目を丸くするが、声を上げるような事はせず、神堂の手に握られた剣を見て完全に敵対心を持ったようだ。

「一瞬たりとも気を抜くなよ。…死にたくなければな」

 神堂がそう呟いた瞬間、少年の視界に写っていた筈の神堂の姿が消えた。

(…は?」

 そう思い、神堂の姿を見つけるために周辺を見渡そうと先程まで捉えていた視界をずらそうとするが、視界をずらす前に、少年の耳に不吉な音が入る。

 それは先程神堂が空を斬った瞬間に聞こえた音であり、つまりは風切り音。その音が少年の後ろから聞こえたのだ。

 少年は後ろを振り返る事さえせず、ほぼ反射で前方に身を投げ出す。

 そして次の瞬間、いつの間にか少年の後ろに移動していた神堂が手に握られた剣を横に一閃していた。あのまま少年が反応することなく、その場で硬直していたのならば、今頃少年の首は動体と切り離されていただろう。

 少年も神堂の迷いのない攻撃に寒気と恐怖を覚え、一瞬だけだが体を震わせる。

「く…くそお!」

 普通の人間ならば先程の神堂の攻撃を見て恐怖心を覚え、逃げるのだろうが、この少年は違った。少し前まで震えていた体の震えを根気で吹き飛ばし、更には神堂に殴りかかってきたのだ。

 丸腰の少年が剣を持った少年に殴りかかる。それがどれ程異常な事か…これだけでも神堂に殴りかかっている少年の異常性が理解出来る。

 神堂も神堂でその事に感心を覚えていた。

「俺に向かってきた所まではいいが…動きが遅い」

 少年が神堂の頬めがけて放った拳は神堂の頬を掠めただけで終わり、一直線に向かってきた少年の体はそのまま流れていく。

 その事に対し、少年はまずい、と咄嗟に思うが、そう思った瞬間には神堂の膝が少年の鳩尾を捉えており、少年の体を衝撃が襲う。

「がぁっ!」

 短い声と共に少年は後ろに吹き飛び、地面を転がった。

(身体能力は高くない。…やはりステイルが負けた要素は別の力にありそうだ)

 そう考えた神堂は西洋剣を天に掲げるように上に突き出し、神堂自身の力を行使する。

 今から使う力は彼の本来の力の一部分に過ぎない風の力。

 天に掲げた西洋剣の周りに見えない風が纒わり、低い呻き声を上げる。そのまま剣の周りに充分な風が集まったと判断した神堂はそのまま少年目掛け剣を上から振り下ろす。

 すると剣に纒わりついていた風はまるで意思を持ったかのように地に倒れている少年目掛け突進してゆく。地を削り、轟音を上げ、風が秘めた威力を警告しながら。

(見せてみろ。お前の力とやらを…)

 遂に地を削り
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