対能力者
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暗い路地、数人の男達が音を殺し駆ける。男達は何処か慌てた様子で走り続けた。
それはまるで“何か”から逃げているような、否、実際に逃げていた。
「何処から……はあ…情報が…漏れやがったんだ……はあ……クソッ!」
「少しは……ハァ…黙って走りやがれ!」
「お前ら……ケホッ…喋ってる余裕ねぇだろォ!」
息も絶え絶え男達はスーツケースを抱え走る。
もう少しで裏路地を抜ける。この先で別の仲間と落ち合い逃走する手筈になっている。頑張れ、頑張れ。
男達は己を、仲間を、励まし走り抜ける。
その先に絶望があるとも知らずに
「御疲れ様」
「…ぁ……」
誰が漏らしたかはわからない。
ごく小さな呟きだった。
しかしながらその呟きにはハッキリと“恐怖”が含まれていた。
男達を迎えたのは仲間ではなく
「ではゆっくりと眠ってくれ」
金色の瞳をもつ悪魔だった。
「これは酷いな……」
学園都市の警察とも言えるアンチスキル。
そこに所属している男がそう吐く。
「報告によるとこいつら強能力者だろ?こんだけやられてんだから大能力者が関わっていると見たな俺は」
「いや、違うみたいだ。何でも死因は射殺なんだとよ。」
「じゃぁあれか?裏路地から出たところをスナイプでバーン」
「まぁそれだったら良いんだけどさ……どうもこの車を見るとね……」
そういいアンチスキルの男は現場に残されたほぼまっ平らに潰された車体を横目で確認した。
「こりゃ、対能力者じゃねぇか?」
「おいおい、やめてくれよ。そう言う定かでもない噂のせいで捜査は難航してんだ。能力者が銃器を使っただけだろ?」
「ま、でもよ。後は裏の奴等が勝手にやるだろうよ俺達は適当にボランティアしてれば良いの」
「適当だなお前は」
―――――同時刻
「アァ……たりぃ…」
金の瞳をもつ少年が裏路地を歩いていた。その眠たそうな顔とは裏腹に隙のない歩きをしていた。
少しして立ち止まり辺りを見回した。
「確かこの辺だと思ったんだが」
ふぁ〜と欠伸をし、頭の後ろで手を組むと再び歩きだした。
数分後、少年は立ち止まり路地に捨ててあったポリバケツを蹴り飛ばした。
「あった」
ポリバケツがあった場所にはメモリースティックが1つ落ちていた。
少年はその特徴的なくすんだ灰色の髪をかきむしりそれに手を伸ばす。
手にしたそれをポケットに突っ込みまた大きい欠伸をし、裏路地を抜けた。
《対能力者》
今学園都市で囁かれている噂
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