第八十八話 それぞれの思惑
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パーティー参加している貴族達の殆どは、トリステインから輸入したタバコやショコラ、最近出回るようになった高級酒ブランデー等の嗜好品を嗜んでいて、かなりの額のお金がトリステインに吸い寄せられていた。
「確かにあの小国に多くの金が渡ったのは知っています。ですが逆に考えれば一時的に金を預けたような物でございます。あのような小国ごとき、我がガリアが一睨みすれば、小賢しい若造は尻尾を垂らして、今まで預けておいた金を利子をつけて返すことでしょう」
などとブルボーニュ公はのたまった。大国の貴族にとって、トリステインなどこの程度の認識でしかない。
「その様な認識では困る。今までの発想とは違う観点から政策を起こし成功させたその手腕もそうだけど、ハルケギニア一と言われる魔法の腕前も特筆すべきだよ。もしも兄上とマクシミリアン王が手を結べば、私達にとって大きな障害になるだろう」
今度はブルボーニュ公の方が弱気なシャルルを嗜めた。
ブルボーニュ公を始めとするシャルル派貴族にとって、シャルルが王位に就いてくれなければ、無能王子ジョゼフを国王として戴けなければならなくなる。
大国ガリアの貴族として、それだけはプライドが許さなかったし、善人のシャルルに取り入れば、美味しい汁が吸い放題という打算もあった。
「なにを弱気な。ハルケギニア随一の魔法の使い手はシャルル殿下を置いて他に居ません」
貴族はそう言ってシャルルを慰めたが、シャルルの心は晴れない。
マクシミリアンが登場するまで、魔法の天才といえばオルレアン公シャルルを置いて他に居なかった。
だが、マクシミリアンの登場で、シャルルの事を魔法の天才と賞賛する声は極端に少なくなった。この名声はシャルルにとってのアイデンティティの様なもので、マクシミリアンにお株を奪われた今では、シャルルの心に一抹の焦りを不安をもたらしていた。
(兄上に勝ち次期ガリア国王の座を得るには、なにか大きな功績が必要だ。とても大きく何人も異論を挟む余地の無い大きな功績が……)
父親であるガリア国王が、何時、老いによって判断力を失うか分からない状況では、シャルルの焦りは大きくなる一方だ。
そんな時、焦るシャルルの下に息を切らせた貴族が現れた。
「失礼いたします。シャルル殿下はこちらに!?」
「私はここだ。何かあったのか?」
「ははっ、ゲルマニアから驚くべき報せが届き、急ぎシャルル殿下の下へ駆けつけてまいりました!」
「どういった報せなのか?」
「はっ! ゲルマニア皇帝が何者かによって殺害されたとの事です!」
「な!?」
シャルルは驚いた顔になったが、それは一瞬の事ですぐさま冷静なシャルルに戻った。
そんなシャルルの様子を横で見ていたブ
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