第八十八話 それぞれの思惑
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催者の貴族はかなり大きな屋敷で、参加者達は金に糸目をつけない贅を凝らした料理に舌鼓を打ち、魔法を使った演劇でガリアでは良く知られた劇団を呼び余興を楽しんだ。
だがこのパーティー。表向きこそ良くある貴族のパーティーだったが、このパーティーの本当の目的は、次期ガリア国王へシャルルを推す、いわゆるシャルル派の支持者パーティーだった。
シャルルは王位に興味が無いような素振りを見せていたが、シャルルを支持する貴族達に押されるように、王位への興味を示し始め、今ではこの手の支持者パーティーに積極的に出席するようになっていった。
現在ガリアでは、シャルルの父である現ガリア国王が老齢という事も合って、水面下では次期ガリア国王を狙うシャルル派が、頻繁にパーティーを開いて各ガリア貴族の懐柔を行っていた。
シャルルの兄であるジョゼフは、魔法が使えない事と彼が実行した政策が失敗続きだった事から世間では無能王子と呼ばれ、次期国王はシャルルで間違いないと、支持者達は気炎を吐いた。
だがシャルルは、兄ジョゼフの事を何かにつけ評価するような言動をして、シャルル派の貴族達をヤキモキさせていた。
パーティーが続く中、パーティー主催者のブルボーニュ公爵が別室で休むシャルルにご機嫌伺いをしてきた。
ブルボーニュ公爵はシャルルのオルレアン公爵と同じ公爵だが、国王の息子という事もあって、シャルルの方が地位が高い。
「ご機嫌麗しゅうございますシャルル殿下」
「やあ、ブルボーニュ公。パーティーを楽しませてもらっているよ」
「ありがとうございます。シャルル殿下に一つお聞きしたき事がございます。何故、殿下は無能王子なぞを恐れるのです」
「キミといい皆は兄上の事を誤解しているよ。兄上は本当は凄い人なんだ。侮るなんてとんでもない事だ」
「ですが、ジョゼフ王子の政策は失敗続きで、しかも魔法が使えません。臣民の心はジョゼフ王子から離れております」
「兄上なら国王に魔法の才能は必要ないと言うだろうね」
「それは所詮負け犬の遠吠えに過ぎません」
ブルボーニュ公は自分の屋敷という事もあってか、シャルルを前にしても手厳しい事を言う。
「魔法はともかく。だれも兄上の自由な発想を理解していなかったからだ。もし兄上の近くに兄上の自由な発想を理解できる者が居れば、きっと兄上の成功していただろう。そう、トリステイン王国のマクシミリアン王の様な方が居られれば……」
「マクシミリアン王ですか、巷では『賢王』などと呼ばれていますが、所詮は小国の王です。我がガリアの敵ではございますまい」
「その小国に、ガリアの財が吸い寄せられているのをキミは気づかないのかい?」
トリステインを侮るブルボーニュ公をシャルルはたしなめた。
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