第八十八話 それぞれの思惑
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きた。
よほど急いでいたのか、クーペのその姿は、フランクヴルトでフランケン大公の城に潜入したヨゼフィーネの姿のままだった。
「一ヶ月ぶりかクーペ。妙な事態になったものだな」
「お久しぶりにございます陛下。私も今回の件は予測不能でした」
クーペにとっても、チェック貴族の暴走は寝耳に水だったようだ。
「明日の朝にしても良かったが、早急に対策を取るべきと僕の直感が言っているので、迷惑だろうが付き合って欲しい」
「分かりました。私としても一刻も早く、ゲルマニア対策をしたいので望むところです」
「そうか、まずは紹介しよう。知っていると思うが、外務卿のペリゴールだ。彼とも情報を共有して、トリステインの外交に役立てるように動いてもらう。いいな、クーペ」
「陛下のお心のままに。初めましてペリゴール殿。応急では何度かお目にかかった事がございます」
「直接お話しするのは初めてですな。クーペ殿」
クーペがは了承するとペリゴールと握手をした。
「さて、お互いの親交を深めさせるのも良いが、早速本題に入ろう」
そう言うと、マクシミリアンは杖を振るい『サイレント』の魔法を唱えた。
「御意。まずは我が諜報局が掴んだ情報を提示いたしましょう」
「よろしく頼む」
諜報局の情報では、ゲルマニア皇帝が殺害された日の前日。スラヴ人の神父が異端審問会に掛けられ、公衆の面前で火炙りにされ死亡した事を掴んでいた。
だが、その後のチェック貴族の行方は分からず、諜報局員がかなりの数の人員を割いて、チェック貴族の捜索に当たっていた
「スラヴ人の神父が? どの様な人物なのだ」
マクシミリアンがクーペに問うた。
「元僧侶のペリゴール殿の前で恐縮ですが、ロマリア坊主の割りに傑物だったそうにございます。スラヴ貴族の大多数が彼に傾倒していたと報告にございました」
「なるほど、惜しい人材だったみたいだな」
「御意。話を続けますが、火炙りの次の日に皇帝が殺害されたというのは、いくらなんでも出来すぎています、十中八九、犯人はスラヴ貴族の者でしょう」
「正直、いらん事をしてくれたと吐き捨てたくなる」
「いかがいたしましょう陛下。彼らの支援を中止たしますか?」
クーペがマクシミリアンにお伺いを掛けた。
蚊帳の外だったペリゴールが、『支援』という言葉に反応した。
「お待ち下さい、支援ですと!?」
「ああ、ペリゴール。僕の言った陰謀とはこの事だ。彼らスラヴ人を支援して、しかるべき時にゲルマニアに混乱を起こさせ、行く行くは大国ゲルマニアを分裂させる計画だったが、彼らスラヴ人のお陰で大幅な修正を余儀なくされてしまった」
「なんと……」
ペリゴールは絶句した様子
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