第十三話
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エルシャンは機動要塞シルバ6に1人乗り込み、イルヌ星系から4000光年の距離にある防衛戦の一画に居る。
連盟軍で開発された新型実験機の実証試験のためだが、開発コンセプトの一つがシルバ6の運用思想と同様の通信機能の強化であることから、シルバ6とエルシャンに白羽の矢が立った。
パイロットを戦場より遠く離れた母星ではなく大型機動要塞内に配置することでより、更なるラグタイムの短縮を図るのが今回の試験における大きな目的であったために、エルシャンは生まれて初めてイルヌ星系を離れることになった。
ワープ以外の通常航行では光速の60-80%程度の亜光速のため、艦内では経過時間の遅延が発生するが光速の60%では20%の遅延が起こり、10秒間の時間が艦内では8秒間になる。同様に光速の80%では40%の遅延が起き6秒なるため長期に渡る亜光速航行時に人を乗せることは問題視されて、特に人を乗せた状態で光速の95%(69%の遅延が発生)以上への加速は連盟法で固く禁じられていた。
その為にシルバ6での実験期間は1ヶ月とされており、結婚から一年が経ちついに授かった第一子にして長男の出産には間に合う予定だった。
実験機──まだ正式な名称すらない。XSF/A-R1という番号のみを与えられた機体。
従来の対小型種に特化した戦闘機の発展型ではなく、エースパイロットの能力を活かす為に全く新しいコンセプトの元に開発中の機体。
戦闘機は、通常のパイロットでは被撃墜率が高い一方で、同調装置による遠隔操縦によりパイロットの人的被害が無視できるため、高コスト──資源・エネルギー問題が解決済みの連盟加盟国にとり、主に製造ラインを占有する時間コストの意味が大きい──の機体よりも低コストの機体を運用した方が、終わりの見えない【敵性体】との戦いにおいて戦線を支え続けるには有利に働くと判断されていた。
だが以前から、フルント人を含む高パイロット適正種族中でも優秀なエースパイロット達は、被撃墜率が極端に低く高コスト機体に搭乗させた場合は優れたコストパフォーマンスを発揮すると考えられていた。
そこでコストを度外視し、エースパイロットがその能力を遺憾なく発揮できる性能を持った機体の開発が始まった。
・通信能力の向上による同調機のラグタイムの減少
・小型種からの攻撃に対してある程度の耐久性の確保
・従来機以上の機動性を確保
・威力以外の攻撃力の向上
ラグタイムの減少は、機動要塞・航宙母艦・機体と通信を伝達するノード間の処理速度を向上させるもので、それに特化したシルバ6よりも更に5%の向上を目標とされた。
耐久性の確保には、機体の大型化が必須だった。
全長を従来の30m程度から倍の60m台へ一気にサイズアップし、フレームやボディーの構造・材質を全面的に見直し強
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