第二部
第二章 〜対連合軍〜
百四 〜長安〜
[5/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
。
「なるほど……。曹操さんなら、そこまで読んでいる事は十分考えられますね」
「そうだね、朱里ちゃん。あ、あの……ところで、続きをまだ伺っていませんが」
「ああ、そうね
雪蓮は頷いた。
「でね、陛下に謁見を願い出たわ。勿論、袁術ちゃんの使者としてね」
「だが、門前払いを食らってな。官位を持たない者を宮中には入れられないの一点張りでな」
「んなアホな。仮にも味方ちゃうんか?」
「ええ、そう思ったんだけど。どうやら、張譲から見ればわたし達も敵という認識みたいなの」
「……睡蓮様の一件から、我らと土方様とか示し合わせて動いているのではないか。そう勘ぐられていたようなのだ」
「まさに下衆の勘繰り、という奴だな」
吐き捨てるように、愛紗が言った。
「それどころか、糧秣の支給すら渋ったのよ? 酷いと思わない?」
「それでは、孫策さんの兵が飢えてしまいますね」
「その通りだ、朱里。かと言って、役目も果たさずに戻れば袁術からどんな処罰を受けるかわからん」
「いっその事、歳三に降っちゃおうかとも思ったんだけどね。ただ、そうなれば残してきた祭や飛燕(太史慈)達がただじゃ済まないわ」
「あわわ、ま、まさかこの火事は……?」
なるほど、そういう事か。
雛里のみならず、皆が顔色を変えた。
「あら、何の話かしら? ねぇ、冥琳?」
「ああ。偶々、宮城の一角から火の手が上がっただけだな」
「し、しかしだな。この規模の大火だぞ、死者も少なくなかろう?」
「それなら心配無用だ、関羽。今の長安には、殆ど庶人は住んでいないからな」
「陛下はともかく、廷臣達があの体たらくだもの。愛想を尽かして出て行っちゃったわよ、殆ど」
それはそれで妙な話だが、この際それは問うまい。
「……そういう事にしておくか。それで?」
「当然、緊急時だから兵を動かしたわ。あれだけ行く手を阻んだ近衛兵も、流石に制止しなかったわよ」
「ですが、宮中はもぬけの殻でした。陛下も張譲殿も行方知れずです」
「残っていた官吏を問い詰めたら、裏門から馬車で逃れたらしいの。今、必死に探させてはいるんだけど」
「ふむ……」
如何に悪賢い張譲とは申せ、そこまで素早く動けるものであろうか?
奴一人ならば兎も角、陛下をお連れしてとなれば尚更であろう。
「霞。済まぬが急ぎ洛陽に戻ってくれぬか?」
「ええけど、何するんや?」
「書状を認める故、暫し待て」
「わかった」
「愛紗、雛里。お前達は半数の兵で長安の周囲を固めよ、何人たりとも出入りさせてはならぬ」
「御意!」
「御意です」
二人は兵を連れ、駆けていった。
「では雪蓮。残った兵は全て入城させるが、良いのだな?」
「ええ。陛下がおられない以上、歳三と戦わなきゃいけない理由も義理もないでしょ」
「よし。雛
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ