第22話 沈む心、甦る決意(3)
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りはじめ、薄暗くなっていた玄関口が少しだけ明るくなった。
「あぁ、おかえりー。どうしたんだぃ、少し遅かったじゃないか」
少女の声を聞いて、パタパタと軽い音と共に、明るいオレンジ色の髪を伸ばした女性が玄関に少女を迎えに来た。軽い口調で少女を出迎えた女性は、少女を見た途端眉をひそめる。
「って、どうしたってんだ、そんな暗い顔して。まさか、回収に失敗したのかい?」
心配そうに尋ねる女性。少女はその長い金髪を横に揺らす事でそれに答え、無言で少女が身につけるには少々いかついネックレスを持ちあげる。
「何だい、ちゃんと成功したんじゃないか。ならそんな暗くならなくてもっ……」
少女の答えに安心したかのように喋っていた女性の言葉が、唐突に遮られた。少女が何も言わずに、女性へと縋りついていた。
「『家族なのに』、って」
ぽつりと、今にも消えてしまいそうな声で少女は言う。女性に縋りついた肩が震えていた。
「初めてのジュエルシードを見つけられて、大人しそうな猫に寄生していたからすぐに封印できるって思ってたのに。知らない魔導師の子と、訳の分からない力を持ってた男の子がいて。
男の子が、家族に何をするんだって、シャムスは、自分の家族だって必死に言ってきたのに、私……」
まとまりのないまま、震えたまま少女が話した内容で、女性は今日少女の身に何が起こり、そして何を思ったかを悟った。咄嗟に少女の背に手を廻し、強く抱きしめる。
「あぁ、つまりジュエルシードを回収することはできた。けれども、その途中で邪魔が、それも寄生された奴の家族がいて、そいつを叩きつぶさないといけなかったってんだね」
女性に体を押し付けたまま、少女は何度も首を縦に振る。
その様子を見て、あやすように背を撫でていた女性は天を仰ぎ大きなため息をついた。
「フェイト」
少女――フェイトと顔が見えるようにしゃがみ、彼女の名前を呼ぶ。紅い瞳いっぱいに涙を溜めていたまま、少女は女性と目を合わせた。
「じゃあ、やめるかい?」
しかし女性の言葉に、驚きに目を大きく見開く。つ…、とその際に溜まった涙が頬を伝って落ちていった。
「発動したジュエルシードは生物に寄生する、これは事前に知っていたはずだろう? なら、当然今回みたいなことは起こりえることだし、しかもこれ以降ももしかしたら、一回じゃすまない可能性だってあるんだ。それに、フェイトは耐えれないんだろう? たった一回でここまで落ち込んじまうんだ」
少女の両肩に手を置き、口角を釣り上げながら、女性は言葉を続ける。今の少女にとって、余りにも惨たらしい事実を突き付けてくるその言葉に、いやいやと首を振ることしかできない。
「だから、やめるかい? あんなクソババア
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