第22話 沈む心、甦る決意(3)
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かったのは、自分の居場所が無くなることだった。
所詮自分たちはこの世界の住人ではない。何か役に立たないと、皆に認めてもらわないとここにいてはいけないと思った。だから自分にしかできない事をした、それでいてこれ以上奇異の目で見られない様に手を打ってきた。
これが本当の、嘘偽りのない自分の心だった。
純吾はそう自分の心の内を言い終わると、のろのろと顔をあげた。顔は自分の抱えていた酷い彼女たちへの不信を打ち明けた事に、酷く怯えたように眉根を寄せていた。
そして震える唇でもう一度、問いかける。
「だからほんとうに、いいの? みんなを見ていなかった、信じていなかったジュンゴを、また、仲間にいれてくれるの?」
そう言い終わると、純吾は顔を伏せた。もう、戻れない。今この場にいる人の気持ちで、自分と、自分について来た仲魔のこれからが決まってしまう。
少しの間、部屋の中に沈黙が流れる。
「純吾君はそう言うけど……。私は、そう思うのはいけない事だって思わない」
純吾の背中に手が添えられた。それに驚いて振り向くと、すずかが顔をあげ純吾を見つめていた。
「誰だって、自分の事を大切にする。自分を守るためだったら、そうするために振る舞うし、心に嘘だってつくと思う。
……私が、純吾君と会う前はそうだったみたいに。だからね、そんな風に自分の事を言わないで。純吾君の思っていた事は悪くない、いけないことじゃないの」
すずかはそこで言葉を区切り、純吾の背中にもたれかかるようにすがった。「それに」
「それにね、純吾君は私を助けてくれた。ずっと離す事が怖かった一族の事を受け入れてくれた。
だから今度は私の番。純吾君が自分の事をダメだって否定しても、私はそうしない。私は、純吾君の事を受け入れるよ」
「すずか…」
純吾の背中から、すずかがつけている微かな香水の香りと、彼女の体温が伝わってくる。どこか安心して、眠くなるようなそれらに、純吾は夢うつつに呟いた。
「そうよ。あんたが自分の事信じられなくても、私達は信じてるの。あんたが何て言ってたか、何をしたのか、それにまぁ、気づけない事もあったけど…、何を思ってたかずっと見てたから。
だ、だからこれからもじゅ…、純吾のこと、ちゃんと見てあげて、それで自分の事信じられないだとか、間違った事してるってんなら、ひっぱたいてでも正気に戻してあげるわよ」
「……アリサ」
感謝をこめてアリサの方へむかって、頭を下げた。いきなりそうされたことに驚いたのか、「えっ、ちょっとそんな」と若干焦ったような声が聞こえるが、頭をあげれそうにない。
嫌われると、少なくとも、これまで通りではない嫌悪の目で見られると思っていた。彼女たちを助けた行動が、自身の利益の為に
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