第22話 沈む心、甦る決意(3)
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あらまぁまぁ」と、彼女の義母の様に笑みを深める忍。
「まぁ、純吾君が私たちを心配してくれたように、私たちも純吾君が心配だったっていう事よ。特に、君の隣でいっつも頑張ってた子にとってはね」
そう言って、忍は彼女の後ろに隠れるように立っていたなのはを押しだした。押されるままに、おずおずと純吾の近くまでなのはが来る。純吾もそれに合わせて上半身を起こした。
「……ごめんね、純吾君」
彼と向き合うように、ぺたんと座ったなのはが小さな声で言った。俯いて長い前髪に隠された様子からは、どんな顔をして、どんな思いを持ってそう言ったかを読み取ることができない。
「純吾君が、どんな気持ちで一緒に頑張ってくれているか知らなくて。純吾君に、危険な事をずっと押しつけたままにして。ずっと純吾君に頼りっきりだったから、今日みたいな事が起っちゃったて思うの。だからほんとに……本当に、ごめんなさい」
純吾は愕然とした。自分は彼女達に心配をかけたくなかっただけなのに、どうしてここまで食い違ってしまったのだろうか?
「ちがっ…、なのはは悪くない! 全部、全部ジュンゴがわr「けれどっ」……?」
純吾の言葉を遮って、なのはが言う。
「それだよ。一つだけ、純吾君に言いたいのは。アリサちゃんも言ってたけど、どうして一人で悩んじゃうの? ……私たちって、そんなに頼りないの?」
金づちで頭を殴られたかのような衝撃を受けた。そんな事は思ってない。ただ、自分は……。
しかし自分の思いを、どうしても彼女に言う事ができなかった。
唐突になのはが顔をあげた。そこには、純吾が答えてくれない事への失望感はない。ただ何か強い、強い決意を秘めた目で純吾を見つめてくる。それが、ふっと笑みを作った。
「ごめん、ちょっと意地悪だったね。けど確かに今は、私たちは何もできてなかったから、しょうがないかもしれないよね。けど、これからは違う。私も頑張る。さっきお兄ちゃんとリリーさんにお願いしたの、戦い方を教えてって。もうあんな純吾君は見たくない、悲しんでほしくないって思ったの」
そこでなのはが目を閉じた。次の言葉に、万感の思いを込めるかのように。深い深呼吸と共にゆっくりと目を開き、再び純吾を見た。
「だから、これからの私たちを見て。少しでも純吾君の傷が少なく……悩みを打ち明けてくれるように、そんな風になって、きっとなってみせるから。
もう、純吾君一人だけに、傷を負わせたりしない。悩んだりなんてさせないよ」
「…………」
なのはの言葉を聞いて、純吾は部屋を見回した。
机の近くで、恭也と忍がお互いを支え合うように立っていた。
純吾が視線を向けている事に気が付くと、お互いの顔を見かわした後、そろって純吾に頷いた。
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