第21話 沈む心、甦る決意(2)
[6/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
そんな子が、ジュンゴにあそこまで心の傷を作ってくれちゃったわけ」
突然、リリーの体から青白い電気の火花が溢れる。同時に、体に纏わりつくそれの影響で、豊かな青みがかった黒い髪がたゆたう様に揺れた。傍らに立っていた恭也が、慌てて忍を後ろに隠す。
「上等じゃない。その子にどんなお返しをしようかしら? 本当に楽しみだわぁ……ふっ、ふふふ。あははっ。
…………なのちゃん」
名前を呼ばれてなのはが頭をあげ……恐怖に顔をひきつらせた。鬼女、そう呼ぶにふさわしい雰囲気をリリーが纏っていたからだ。
なのはの表情の変化を一向に気にした様子もなく、怖気ふるう笑みを張り付けたままリリーは告げた。
「いいわ、あなたの特訓に付き合ってあげる。言っとくけど、私は相手をするとき手加減をする気はないわ。あなたをぶちのめす気でいかせてもらうわよ」
恐怖に顔を歪めるなのはを前にしてそう言う。流石に見ていられないと、恭也が手を伸ばした時
「力が足りなくて、泣く人を見るのはこれっきりにしたいでしょ?」
ふっ、と重圧が無くなった。
寒気のする雰囲気を和らげ、真剣な眼差しで震えるなのはに問う。リリーの意思をそこに見たなのはは、段々と自分の中の恐怖が薄れていくの感じた。
「……はいっ!」
そして恐怖を完全に払しょくし、決意を秘めた表情をしてリリーに答える。一切の妥協なく、その彼女の決意を見定めるような真剣な目でじっと見ていたリリーだが、やがてふっと表情を和らげた。
「まぁ、次こそは私がジュンゴから離れるってことしないし。まずはなのちゃんの身を守れるくらいの実力を身につけることから目指しましょうか」
なのはの緊張がとけ、ぱっと花が咲いたかのように表情が華やいだ。
いつも純吾の隣に立ち、彼と戦い続けた女性。その女性に自分の事を認められたこと、それがとても嬉しかったのだ。それを見て、満足そうに何度も頷くリリー。満足そな顔をしたまま、くるりと視線を後ろに向けた。
「うんうん、やっぱり女の子は笑っていなきゃね♪ ほら、見てジュンゴ。あなたがここでみつけた友達は、こんなにもすて…き……」
リリーの満足そうに緩めた頬が、ひくひくと引きつりを起こし始める。目の前の光景を頭が処理しきれず、指一本動かす事ができなくなった。
それまでリリーの後ろ、つまり今の純吾の様子をさほど気にしていなかった面々も、なんだなんだとそちらを見やった。途端にあがる「うわぁ」とか、「これは…」という恥ずかしがるような、呆れ果てたような声。
「ジュンゴにゃ〜ん。そんにゃ、にみんにゃの目の前で『ずうっと一緒』だにゃんて、シャムス困っちゃうにゃ〜ん♪
あっ、勿論困っちゃうっていうのは振りだけにゃ。ほんとはむしろばっち
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ