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その答えを探すため(リリなの×デビサバ2)
第21話 沈む心、甦る決意(2)
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自分が悪いって、こんなにも苦しんでいるんだよね」

 そうリリーは語りかけると一呼吸おいて、でもねと言い、純吾の頬を手で支えながら、彼女と目を合わせるように持ち上げた。

 彼女の顔もまた、涙にぬれていた。長い睫毛に溜まったその雫が、彼女のやや切れ長で大きな目を彩る。頬は薄紅に染まっていた。それが彼女に常にない気高さと慈愛の雰囲気を与え、目を逸らす事の出来ない魅力を放たさせた。

「でもねジュンゴ。もっと周りを見て。もっと、自分がやってきた事を見つめてみて。
 ジュンゴは何もできなかったって後悔してるけど、確かにあなたに助けられたものもあるの。動く事ができたのは少し遅かったかもしれないけど、それでも確かにあなたは誰かを助ける事ができたのよ」

 リリーは視線を横にずらした。それを追うように、純吾も視線を移動させる。
 彼らの目に映ったのは、月村家の人達にアリサ、なのはとユーノ、そしてシャムス。

「ねっ。あなたの守った縁はここに……。誰ひとりとして欠けることなく、ここにあるでしょ?」

 純吾がそれを見たのを確認すると、リリーが純吾の手をとり、引っ張り上げるようにして彼を立ちあがらせた。自身の涙を手でぬぐい、涙の跡が残る笑顔を彼へ向ける。
 それに弱々しく頷いた純吾の暗かった瞳に、少しだけ理性の光が灯った。

「それにほら。今日新しく仲魔になったあの子もそこに、ちゃんといるわ」

 そう言ってリリーは「彼女に言わないといけない事があるんじゃないの?」と、彼を優しく押し出した。少しおぼつかない足取りで、純吾はシャムスの前へと進む。
 ものの数歩で両者は対面した。シャムスは椅子に座り、驚き目を大きくあけ、口を手で覆っている。そんな彼女へ、「……シャムス」と小さく、純吾は尋ねた。

「ジュンゴは、シャムスをちゃんと助ける事ができた?」

 シャムスの目がこぼれんばかりに見開かれた。
 目の前の彼は彼女が傷ついている時、何もできなかった事を恥じているのか、悔やんでいるのか。俯いた純吾の手は固く握られ震えていた。
 慌てたようにシャムスはその手をとる。

「もっ、勿論にゃ! シャムスはこうやって、ちゃんとジュンゴにゃんの前にいるにゃ!」

 彼女に手をとられた一瞬だけ、純吾はシャムスを見た。けれどすぐに視線を逸らし、下に向ける。
 彼はまだ、自身のした事に自信が無く、自身ができなかった事に悔いを残していた。だからもう一度だけ、彼女に問いかける。

「でも……シャムスが痛いって叫んでる時、ジュンゴ何もできなかった。だから」

「だから恨んでるんじゃにゃいかって? そんな事絶対にゃい、ジュンゴにゃんは、ちゃんとシャムスを助けてくれたにゃっ!!」

 自分の言葉を遮って彼女が言った事に、純吾は顔をあげ
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