第4章 聖痕
第34話 山の老人伝説
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して、
「ルージュの9」
壮年のディーラーが厳かにそう宣言した。
その瞬間に、勝者と敗者の悲喜こもごもの気が発せられる。
但し、我が蒼き姫君……いや、現在の彼女は、瞳は普段通りの蒼ですが、髪の毛はウィッグ装備に因り金髪と成っていましたか。つまり、黄金……秋の豊穣を意味する姫君は、勝利に際してもまったく表情を変える事などなく、四枚に増えた緑のチップをただ見つめるのみで有りましたが。
小さな勝利に浮かれる必要など感じていないかのように。
もっとも、それだけ俺や、式神達の能力を信用していてくれるのでしょうけどね。
二戦、三戦と進むごとに勝ちが大きく成って行くタバサ。
いや、勝っているのはタバサだけでは有りません。
確かにタバサは赤か黒だけにしか賭けていないのですが、彼女が勝ち続ければ勝ち続けるほど、彼女の賭ける方に乗る他の客も増えて行くモノなんですよね。
それに、これは当然なのですが。
何故ならば、現在、俺やタバサが行っているのはバクチです。運を持っている人間……つまり勝負に勝ち続けている人間には、俺でも乗ろうと思いますから。
そして、この状況では当然、負けるのは店側ばかりになると言う事。
水に落ちた犬は打て、と言う言葉も有ります。普段は、取り込まれる事の多い賭け金が返って来るのですから、タバサは、突如このカジノに舞い降りた勝利の女神さまと言う事なのでしょう。
ただ、ビーナス系の軍神に愛された勝利の女神などではなく、アテナ系の知恵の女神と言う雰囲気なのですが。もっとも、彼女がアテナで、俺がトロイの王子パリスなら、シュリーマンが歴史に名を刻む事は無かったのかも知れませんけどね。
まぁ、何にしても、これで、勝負に勝ちまくってカジノを潰すと言う目的には簡単に辿り着いたのですが、カジノ側がイカサマを行っている証拠は未だ掴めてはいません。
いや、当然、幻覚作用をもたらせる違法薬物の香によって、客側が普通にやって居たら絶対に勝てない仕組みに成っているカジノですから、その一点だけでも、店を潰す理由としては問題ないとは思うのですが……。
まして、一定時間ごとに店内で行使されるマジックアイテムが自動的に発動するディテクトマジックに因って、客側と、そして自らの側の系統魔法を封じているので、系統魔法を使用したイカサマは不可能だと思いますし……。
更に、俺の魔力探知にもイカサマに対する魔力反応は一切なし。これは、魔力、霊力などの不可思議な能力によって行われるイカサマは、少なくとも、俺やタバサが潜入してからは為されていない、と言う証拠にはなるのですが……。
「ルージュの5」
本日三人目のディーラーに取って、自らの死刑宣告に等しい宣言を行う。
そ
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