第4章 聖痕
第34話 山の老人伝説
[13/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
この店のディーラーに代表される従業員達は、この異常な空間内でも判断力の低下や幻覚症状などを起こしている様子は有りません。
つまり、彼らには薬物に対する耐性か、何らかの防御方法が有ると言う事です。
それで現状で対処する方法はふたつ。一時的に撤退するか、それともこのまま進むか。
安全なのは一時的な撤退の方。
そして、後に公的権力に因る強制調査と言う表現の、実はこのカジノに対する強襲攻撃を行い、危険な教団の出先機関をひとつ潰す方法。
但し、この方法だと確実にトカゲのしっぽ切りが行われ、明日の朝にはこのカジノは、もぬけの殻と成っている可能性が高いでしょう。
その理由は、タバサを攫おうとした連中の元に、そのタバサと、彼女の使い魔の俺が現れた事を偶然と考える訳はないですから。
そして、余程のマヌケでない限り、タバサと俺が潜入している事には、既に気付いているはずです。ならば、向こう側……暗殺者側としても、タバサを無傷で捕らえる好機と捉えている可能性が高いと思います。
つまり、このカジノ内に潜入した段階で退路を断たれている可能性の方が非常に高いと言う事です。
簡単に撤退する事は難しい可能性も有りますか。
そして、このまま進むのなら。
前回の湖畔に置ける襲撃の時のように、俺の排除を先に行うと思いますから、それまではタバサの身は安全だとは思います。
但し、俺が排除された後は、その限りではないのですが。
まして、あの暗殺者たちを相手にするのは、かなりの危険を伴う可能性も高い。
感情を表現する事の少ない透明な表情を浮かべたままで、俺の顔を見つめる蒼き姫。
しかし、その瞳には、ある種の覚悟を感じさせる強い光を湛えていた。
……これは決意。そうして、
「死中に活を求める」
タバサが短くそう告げた。より彼女に相応しい、抑揚の少ない言葉使いで……。
但し、彼女の発する雰囲気が、何か強い決意のような物を感じさせている。
おそらく、その決意とは……。
進むも地獄、退くも地獄ならば、敢えて進む方を選ぶと言う事。
まして、上手く行けば、彼女が何故、モロク系の邪神を信仰する殺人祭鬼などに狙われなければ成らないのか、その理由に近付ける可能性も有ります。
つまり、彼女も、自らが狙われる理由について迫ろうとしていると言う事。
そして、この暗殺者達が、自らの父親の暗殺に関係している可能性も存在している、と言う事に気付いてもいるはずです。
但し、この選択が匹夫の勇と成る可能性も少なからず存在しているのですが……。
もっとも、タバサが決意したのですから、俺は、彼女の目的を達成出来るように、今まで通りに無い知恵を絞って、露払いをしながら進む道を切
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ