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蒼き夢の果てに
第4章 聖痕
第34話 山の老人伝説
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言う事実が残るだけだとは思いますが……。

【だったら、呪殺防止用の禁呪を施して置く事を推奨するのです】

 諜報担当のダンダリオンの【念話】が続く。いや、今の彼女は、諜報担当の部分ではなく、あらゆる知識を授けてくれると言う、知恵の女神の側面で話し掛けて来ていると言う事だと思います。

 それにしても、……呪殺防止用の禁呪ですか。確かに、初歩の禁呪ですし、他の呪文すべてを禁止する訳ではなく、呪殺のみを禁止するのですから、そう難しい訳でも有りません。
 まして、この方法ならば、ディテクトマジックには無反応ですから、無意味に魔法を反射して浪費した挙句、カジノ側とのトラブルを起こす元にはならない。

 ……とは思うのですが、それでも、

「そう言うからには、先ず、その呪符の作り方を教えて欲しいんやけどな」

 初歩の禁呪とは言え、禁呪自体が俺の得意分野ではないんですよ。俺自身が五遁木行を得意とする術者なのですが、禁呪とは術の質が違い過ぎて、性に合わないんですよね。

 えっと、禁呪とは、文字通り、全ての物を禁止して行く術の事です。

 つまり、今度の場合は、呪殺系の魔法により死亡する事を禁止する、と言う事に成りますか。
 使い方によっては、非常に応用の効く術なのですが、この術は、簡単に陰の方向に傾く術で有り、俺との相性は最悪。
 例えば、簡単に人の存在を消して仕舞えたり、逆に、あらゆる意味で死を禁止するような術も行使したり出来ますからね。

 そう思い、軽い気持ち……と言う程でもないのですが、少し軽い調子でダンダリオンに対して問い掛ける俺。

 その俺の問いに対して、

【肯定。今度の事件には、モロク系の人身御供を要求する神を信奉する殺人祭鬼が絡んで来ている可能性が有る以上、これは当然の事なのです】

 普段通りの口調で答えるダンダリオン。
 但し……。

 少女の声で、俺の血圧が、すぅっと下がって行くように感じた。
 いや、もしかすると、この部屋の室温自体が一気に三度ほど下がったのかも知れない。

 そう。確かに、ダンダリオンは俺の依頼をあっさりと受け入れてくれたのですが……。
 モロク系の殺人祭鬼。この部分は一体……。

【肯定。このカジノで使われている香は、彼らの祭祀の際や、暗殺者を作り上げる時に使用すると言われている薬物と似ているのです。
 そして、彼らの暗殺術の中で最も恐ろしいのは、相手の心臓を握りつぶす呪い系の呪術が有るのです】

 思わず洩らした思考を【念話】と受け取ったのか、ダンダリオンがそう答えて来た。
 更に、増大して行く悪い予感。

 まして、麻薬を使用した暗殺者の養成を行うと言えば……。
 更に、良く考えてみたら、このハルケギニア世界には、地水火風と虚無と
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