第4章 聖痕
第33話 赤い風車
[7/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
そして胸元を大きく露出したキャミソールドレスに、肩に巻くストールも白鳥の綿毛を使用した白。ついでに、パーティ用の肘まで隠れる長い手袋も白。更に夜会靴もドレスに合わせた白と言う、徹底的に白に拘り抜いた衣装と成って居ります。
もっとも、彼女の場合、少し胸にヴォリュームが足りない為に、露出の多いドレスでは少し寂しいような気がしないのでもないのですが。
まぁ、それでも、ドレスのそこかしこに、ふんだんに真珠を使用した白のイブニング・ドレスは彼女の神秘的な雰囲気を高め、更に、今回の任務用に纏った黄金の豊かな髪の色と相まって、かなりの美少女ぶりを発揮して居ります。
但し、俺の好みとしては、秋の豊穣を意味する現在の彼女よりも、深い氷空の色を意味する普段の彼女のほうが、より彼女に相応しいとは思うのですが……。
ただ、そうかと言って、あの目立つ髪の毛の色を隠さなければ、潜入捜査には成りませんから仕方がないのですが。
そして、片や俺の方は……一応、この中世と思われる時代及びこのハルケギニア世界の違法カジノなので、流石にドレスコードはないみたいなのですが、それでもそれなりの服装をしていなければ入れてくれないみたいですので、黒のタキシードに黒のタイ。ポケットチーフは当然、白い麻製。更に黒の革靴を履いているのですが……相変わらず、お仕着せの衣装に身を包んだ、ヤケにひねた七五三状態です。
せめて、四年早い成人式ぐらいには見られたいとは思うのですが……。
それに、少し猫背気味に歩く俺と、ちゃんと背筋を伸ばして凛とした様子のタバサとでは、周りに発して居る雰囲気が違うで、受け取る印象も違うのだとは思うのですが……。
しかし、これは仕方がないですか。地球世界の日本のごく平均的な庶民の家に生まれた俺と、銀の匙をくわえて生まれて来たタバサとでは今まで暮らして来た環境が違い過ぎて、正装に当たる服装を着慣れて居るタバサと、まったく縁が無かった俺とでは、着こなしの上で差が出たとしても不思議では有りませんから。
それで、カモフラージュされた店の入り口で何やら暗号めいたやり取りの後、タバサが持っていた符丁を示して見事入店の運びとなったのですが……。
もっとも、いくらこんな方法で客を選ぼうとしても、其処は蛇の道は蛇。アンテナを高く上げて置けば、集められない情報はないと言う事ですか。
まして、店側も常に上客を求めているはずです。
そんな場合、情報の流れて行く先は、大通りや日の有る内の井戸端。庶民の集う店先や家族団欒の夕食などの場所を流すよりも、王宮の柱の影からバルコニーの先。カーテンの後ろから、寝室の寝具の上を流した方が効率良く上客を集める事が可能でしょう。
但し。カジノを開く側も、ガリアの諜報組織の暗
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ