第4章 聖痕
第33話 赤い風車
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【誰にも邪魔されずに、晴れた日は畑を耕し、雨の日には飽きるまで本を読んで暮らす事。世事に邪魔されず、貴族とも、王家とも関係ない形で静かに暮らして行く事】
真っ直ぐに俺をその晴れ渡った冬の氷空に等しい瞳に映し、言い淀む事なく、そう【告げて来る】タバサ。
其処からは、憧れと、そして、少し昔を懐かしく思う雰囲気が感じられた。
そして、何故か、その【言葉】を聞いただけで、ほんの少し、涙がにじんで来るような奇妙な感覚に包まれる。
おそらく、家族が平穏に暮らしていた当時の事を彼女は……。
そして、彼女と霊的に繋がっている俺が、彼女の強く感じている想いを受け取ったと言う事なのでしょう。
それに……。成るほど。父親を暗殺され、自身も命を狙われ、母親も毒を盛られるような目に有った少女が貴族としての生活に戻る事を望む訳はないと思っていたけど、これは深山幽谷に暮らす仙人のような生活を望んでいる訳ですか。
更に、もしも、その生活を望んで俺を召喚したのなら、それは正解。
彼女の望む、晴耕雨読のような生活は、俺ならば間違いなく作る事が出来ます。
五遁木行に属する俺の能力は、非常に農耕向きの能力ですから。
ならば、彼女の望みを果たすべく尽力しましょうか。それに、彼女が能力を付けるまでは動く心算もないと言っていましたし、少なくとも、魔法学院の卒業までは後二年は有ります。
まして、彼女の母親の治療が出来なければ、彼女の使い魔としての仕事を完遂する事は出来ないのですから、その部分を俺は最初に解決しなければならない、と言う事です。
問題は、ルイズや才人が巻き込まれている気配が有る厄介事と、俺に刻まれつつある生贄の印……『聖痕』について直接関係が有った場合、そんなのんびりとした未来を作る事を許してくれる可能性が低くなる、と言う事だけなのですが。
但し、タバサと彼女の母親を安全圏に追いやって、自らだけで聖痕について解決する事は、おそらく彼女が許してくれませんし、彼女との約束に反する事ともなりますから……。
そうしたら、取り敢えずは、聖痕が刻まれているのか、それとも、この両手首の傷は関係なく、俺に刻まれたルーンの意味から類推出来る、オーディン関係の神話を辿らされているのかを確認出来るまで、この件については保留ですか。
俺は、一際目立つ赤いレンガで作られた粉ひき用の風車を見つめながら【念話】を打ち切った。
何故かと言うと……。
その赤い風車の地下に有るカジノが、今回の目的の違法カジノですからね。
☆★☆★☆
では、ここで本日のタバサの出で立ちの説明を少し。
先ず、今回の基本は白です。……と言っても、ほんの少し淡いピンクの掛かった上質の絹を使用した、腕や肩、
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