第4章 聖痕
第33話 赤い風車
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るパンとサーカスの、サーカスの部分です。
確かに、カジノと言うのは、ギャンブル依存症などを引き起こす危険性も有りますが、元々娯楽の少ないこのハルケギニア世界で、公的権力でその少ない娯楽の内のひとつを強く取り締まると、流石に国民の内に不満が溜まって行く可能性も有ります。
更に、日本の例で言うなら、古代でも何度も双六禁止令などの法令が施行されましたが、まったく効果を示す事はなく、中には、天皇自らが双六に熱中するあまり、皇后に窘められたと言う記録さえ残っている始末ですから。
しかし……。俺が聞いた範囲から想像すると、ほぼ野放し状態に近かったトリステインと比べると、世紀単位で、その支配に対する思想が違うような気がしますね。
まして、諜報組織のトップが暗黒街のフィクサーを兼ねると言うのがミソです。
何故ならば、これでは、他国の諜報組織が食い込んでくる余地がかなり狭められる可能性が高いですからね。
いや、ヘタをすると、逆に他国の暗黒街と、ガリアの暗黒街のフィクサーが繋がっている可能性さえ存在しますから、他国の内部にガリアの諜報組織が食い込んでいる可能性の方が大きいように思います。
何故ならば、このハルケギニア世界は、地球世界の中世ヨーロッパに比べると、貨幣経済が発展している雰囲気が有りますから。
もっとも、ガリアの統治や、支配体制がどうだろうと俺には関係ないですか。まして、タバサは貴族としての生活を望んでいる訳ではないはずです……。
いや。そう言えば……。
【なぁ、タバサ】
そう言えば、将来についての明確なビジョンを、タバサに聞いた事は未だ無かったですか。確かに、彼女の望みは母親の回復で有って、父親の仇討ちでは無い、と言う事までは聞いていたのですが、このガリアの諜報網から逃れての隠遁生活は、はっきり言うと、かなり難しいですよ。
俺が居なければ。
俺の【問い】に、声に出しても、そして【念話】に因っても返事を行う事は有りませんでしたが、タバサは、俺の方を真っ直ぐに見つめる事により返事と為した。
これは、沈黙は肯定と取っても良いと思いますね。それならば……。
【タバサは、ガリアで貴族や、騎士として生活して行く未来を求めている訳では無い。そう考えて良いんやな?】
俺の直球の質問に、タバサは何の躊躇いもなくひとつ首肯いて答える。
これは間違いなく肯定。そして、
【わたしの夢は……】
そこまで【念話】で告げて来てから、しかし、何故か言い淀むタバサ。
いや、雰囲気から察すると、何かを思い出している雰囲気のように感じます。但し、何を思い出しているのかは判らないのですが。まして、自らの夢を思い出す必要が有る状況と言うのは……。
そして、
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