第九十四話
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第九十四話 ケルベロス
モンスターもあと二匹となった。しかし緊張はまだ続いていた。
「一体はわかってるのよ」
華奈子が迷路を進みながら言う。
「ケルベロスよね」
「そうね」
美奈子が真剣な顔で華奈子のその言葉に頷いた。二人は横に並んで歩いている。その周りに他のメンバーと使い魔達、それと小百合先生がいる。
「それだけはね」
「あれよね。頭が三つあって」
華奈子もケルベロスのことは知っていた。
「それで尻尾が蛇で背中にも蛇が一杯生えている犬よね」
「そうよ。ギリシア神話に出て来るあの犬よ」
美奈子が華奈子のその言葉に答えた。
「それはわかるわよね」
「ええ。かなり手強いわよね」
普段よりも慎重になっている華奈子であった。
「それってやっぱり」
「でしょうね。けれどあれよ」
美奈子は普段と変わらない。冷静な顔で華奈子に言葉を返すだけだった。
「倒せるわ。絶対にね」
「自信。あるのね」
「任せて」
その自信に満ちた顔で答えた。
「絶対にやれるから」
「そう。じゃあケルベロスの時のメインは美奈子ね」
自動的にそれが決定したのだった。
「頼むわよ、本当にね」
「わかったわ」
そう話をしながら先に進む。すると。
前から異様な獣がやって来た。それは。
「言っている側から、ってやつね」
華奈子はその獣を見据えて言うのだった。歩くのは止めている。
「いいタイミングね」
「そうね」
それに美奈子が答える。他の面々も既に歩くのを止めて身構えている。出て来たのはケルベロスであった。
「じゃあ美奈子」
華奈子が双子の相方に声をかけた。
「言葉通りに頼むわよ」
「わかっているわ。確実にやれるから」
「確実、なのね」
「私なら。間違いなくね」
また自信の程を述べてみせた。
「やれるわ」
「それじゃあ」
華奈子はそれを受けて一歩前に出た。他のメンバーと一緒に。
「サポートは任せてね」
「御願い。華奈子」
美奈子がここで前に出た華奈子に声をかけた。
「何?」
「次は御願いね」
「わかってるわ」
美奈子のその言葉に頷く。既に戦闘態勢に入っていた。
第九十四話 完
2008・3・6
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