第九十三話
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第九十三話 狼狩り
狼男を取り囲む一同。だが積極的には動こうとはしない。
「あら」
小百合先生は彼女達のそんな状況を見ても普段のままだ。一向に焦った様子はない。にこにこと笑ってさえいる。
「皆さん。考えておられますね」
「いい、皆」
美樹は取り囲む五人の後ろにいる。丁度狼男の前で赤音の真後ろだ。
「合図と一緒にね」
「ええ」
「わかってるわ」
それぞれ美樹に対して答える。しかし彼女の方は見ずに狼男を見据えたままである。声だけでやり取りをするのだった。
やがて美樹の肩の上を彼女の使い魔であるビルガーとファルケンがやって来た。そのうえで彼女に声をかけるのであった。
「御主人」
「もういいよ」
「わかったわ」
美樹は二匹の言葉に頷くと一旦目を閉じた。そして。
「皆、御願い!」
「了解!」
「受けなさい!」
まずは赤音が光を放った。それは狼男の目を正確に打ち目晦ましとなった。彼がそれに戸惑っていると他のメンバーがさらに攻撃を浴びせる。周囲からの一斉攻撃を受けてさしもの狼男も怯んだ。その時だった。
「よし!」
美樹は上にいた。そこにはビルガーとファルケンもいる。二匹と共に今必殺の魔法を放つのだった。
「これで・・・・・・終わりよ!」
彼女と使い魔達は共に木の葉を放った。それはまさに竜巻であり恐ろしいまでの数の木の葉が放たれ乱れ飛びながら狼男に上から襲い掛かるのだった。
「あら、これは」
小百合先生はそれを見てまた声をあげた。
「木の葉に魔力を込めて小刀みたいにしたものですね。それで切るのですね」
その通りだった。夥しい量の木の葉に切られた狼男はそれ以前に他の五人の攻撃も受けておりダメージは限界だった。木の葉を受けたところで散りそのまま消え去るのだった。これで美樹は狼男を倒したのだった。
「やったわね」
「ええ」
降り立った美樹に対して五人が歩み寄って声をかける。まずは成功であった。
「木の魔法もあんな使い方があるのね」
「ただ木の葉や使い魔達を使うだけじゃないのよ」
大人びた、そんな笑みを浮かべて五人に答えた。
「こうして力を合わせることもね。魔法だから」
「成程ね。私達のフォーメーションと同じね」
「そういうこと。さて」
ここまで終えたところでまた言うのだった。
「あとは。二匹ね」
「そうね」
「あとは、ね」
それに応えたのは華奈子と美奈子であった。二人共真剣な顔であった。
「やるわよ、美奈子」
「わかってるわ」
美奈子が華奈子の言葉に頷いた。それからまた言う。
「あたし達の力見せてあげましょう」
「ここでね」
二人は顔を見合わせて言い合う。いよいよ双子の出番であった。
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