第八十五話
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第八十五話 土の怪物
三番目の怪物ゴーレムと退治する六人。その中で不意に梨花が春奈に声をかけてきた。
「春奈ちゃん」
「私?」
「ええ」
春奈の言葉に答え返す。
「今回はメインで頼むわよ」
「私なのね」
「土だから」
それが理由なのであった。梨花にとっては。
「これでわかるかしら」
「土だから」
「そうよ」
また春奈に告げる。話をしている間もじっとゴーレムを見据えている。
「これでわかってもらえたかしら」
「ええ」
「流石ね」
春奈が頷いたのを見て美樹はくすりと微笑んだ。
「やっぱりクラウンの頭脳だけはあるわね」
「そうね。じゃあ今回もいけるかしら」
赤音も言う。彼女達はこれでいけると思った。だがまだゴーレムは倒してはいない。それはまだこれからの話なのであった。
「今回は華奈子ちゃんはね」
春奈が華奈子に声をかけてきた。
「あたしは?」
「最後に攻撃を仕掛けて。最初の波状攻撃の最後でね」
「最後なのね」
「そう」
華奈子の言葉にこくりと頷いてみせる。
「最後で。御願いね」
「わかったわ。じゃあ春奈ちゃんに任せるわ」
「御願いね。それで絶対に上手くいくから」
優しい微笑みを浮かべる。こんな時でも春奈はいつも通りのおっとりとした春奈であった。
「そう。それじゃあ」
「仕掛けるわよ」
梨花が華奈子だけでなく皆にも声をかける。
「まずは五人で」
「ええ」
いつも通りのフォーメーションであった。
「いきましょう」
「わかったわ。それじゃあ」
まずは五人が動く。華奈子が最後だ。
その後ろには春奈がいる。しかし彼女は動かない。
「御主人」
その春奈にイーとリャンが声をかける。
「動かないんですか?」
「皆出ているのに」
「いいの」
二匹に言われてもまだ動こうとはしない。
「ここでいて。今はね」
「今は」
「じゃあそこにも考えがあるんですね」
「そう。だからね」
そう言うのだった。何はともあれ彼女は動かないのであった。
第八十五話 完
2008・2・13
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