第七十七話
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第七十七話 ラビリンス
六人が小百合先生と一緒に辿り着いた魔法空間、そこは何と。
「ここって」
「何なの!?」
「迷路ですよ」
先生はこう六人に答えてきた。
「ちょっと複雑な」
「それだけじゃないですよね」
華奈子はもうそれを読んでいた。それで先生に尋ねた。
「そこんところはどうなんでしょう」
「勿論魔法空間ですから色々な動物さん達がいますよ」
「色々ってどんな」
「例えば二メートル程の狼とかですね」
「狼!?」
「そんなのがいるんですか」
六人はそれを聞いて驚きを隠せなかった。それも当然のことであった。
「大丈夫です。皆さんで力を合わせれば平気ですよ」
「それでもねえ」
「ねえ」
流石にそんなことを言われて安心できる筈もなかった。狼というだけでも大変なのに二メートルもあるのだ。六人は不安を感じずにはいられなかった。
「ねえ御主人」
「大丈夫だよね、今回は」
ライゾウとタロがここで華奈子に対して尋ねてきた。
「多分狼だけじゃないぜ」
「僕の予想では他にも色々と」
「いるっていうのね」
華奈子はそう自分の使い魔達に対して尋ね返した。
「御主人もそう思うだろ?」
「多分迷路を歩いていたら急に出て来るよ」
「やれやれ。とんでもないところなのね」
華奈子はあらためて溜息をつく。しかしそんな彼女に美奈子が言うのであった。
「それでもあの博士に比べたらましでしょ」
「いや、それを言ったら」
元も子もない話であった。何しろあの博士は歩く非常識というレベルではないからだ。
「その通りなんだけれど」
「それを考えたらましよ」
美奈子はここまで言うと毅然として前を見据えた。
「そうでしょ?それじゃあ」
「わかってるわよ。どのみち行くしかないっていうのはね」
こうした時には度胸を据える華奈子であった。正面を見据えた。
「行くわよ、それじゃあ」
「わかったわ。じゃあ皆も」
「ええ」
「いざ前へ」
六人と一緒に先生が声をあげるが何故か先生だけはいつもの穏やかな様子であった。
「お弁当もちゃんとありますからね」
「何でこの先生っていつもこうなんだろ」
「さあ」
タロとライゾウは先生を見て言うが先生は全く意には介していない。とにかく迷路での修行が幕を開けたのであった。何はともあれといった感じで。
第七十七話 完
2008・1・9
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