第七十二話
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第七十二話 中までもが
外は一面のピンクであった。そして庭も。
「お花まで」
「流石に草はそうではないけれど」
お城の庭は草花に満ちている。その花達までもがピンクであったのだ。何と他の色の花は一色たりともないという見事な有様であった。
「全部ピンクね」
「そうね」
六人はそれに驚きながら小百合先生に案内されつつさらに先に進む。そしてお城の入り口に辿り着いたのであった。見ればそこも一面のピンクであった。
「やっぱりここもなのね」
「予想していたけれど」
「はい、開いて下さい」
先生がピンク色に塗られた木造の扉にこう言って触れると扉は開いた。そうして遂にお城の中に入るのだった。その中もやはり。
「ここもなのね」
「やっぱり」
「さあ、中に」
小百合先生はここでも六人の驚きを見もしないでまた中に入るように勧める。そのうえで彼女達に対して穏やかな声で述べた。
「まずは夕食を」
「夕食ですか」
「ホワイトシチューですよ」
小百合先生はそう六人に教えた。
「それとキーウィサラダとニジマスのムニエル」
「何か凄く美味しそう?」
「そうね」
少なくとも悪いメニューではないのは感じていた。
「先生のお家は大体洋食なんですよ」
「魔女だからですか?」
「先生が好きだからです」
理由はそれであった。
「それだけですけれど」
「そうなんですか」
「ささ、それじゃあ」
ここまで話してまた六人にピンクの廊下と絨毯の先を進むように勧める。何とピンクの大理石で造られている。有り得ない色彩であった。
「どうぞ中に」
「ホワイトシチューならね」
「華奈子好きだからね」
美奈子は笑顔になる華奈子に対して言う。実はホワイトシチューは華奈子の大好物なのである。基本的に好き嫌いはないがその中でもお気に入りなのである。
「そうなのよ。まさかホワイトシチューまでね」
「それだったらホワイトシチューじゃないわよ」
美奈子はそう双子の相方に突っ込みを入れた。
「そうでしょ」
「それもそうね。それじゃあ」
「はい、どうぞ」
こうして城の奥のやはりピンク一色の食堂に案内される。テーブルもイスも壁の絵画も何もかもがピンクの中であった。そこでピンクの皿に入れて出されたのはとりあえず普通のメニューであった。
「よかった」
華奈子はその普通のメニューを見てまずは安心した。
「味もいいし」
「そうね」
美奈子もそれを味わって笑顔になる。まずはその料理を堪能した。それからお風呂に六人で入ることになった。しかも先生と一緒にである。
「小百合先生もですか」
「はい、皆さんで仲良く」
ここでも先生は笑顔であった。笑顔が今田先生とここでもそっくりであった。その笑顔
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