第七十一話
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第七十一話 小百合先生のお家
小百合先生のお家、そこは何とお城だった。
「ねえ美奈子」
華奈子は神戸市にあるそのお城を見て美奈子に問うた。しかもそのお城は西洋のお城であり尚且つピンク色であったのだ。あまりにも異様なお城であった。
「あたし目が悪くなったのかしら」
「どうしたのよ、急に」
「ピンク色のお城が見えるんだけれど」
そう美奈子に対して言うのであった。
「気のせいかしら」
「気のせいでも何でもないわよ」
美奈子はそう華奈子に答えた。
「私も見えるから」
「そう。じゃあ見間違いじゃないわね」
「ええ。それにしても」
夕方の赤い世界の中に浮かび上がるピンク色の城。それは何とも言えない、幻想的とかそうした言葉ではとても言い表せないものがあった。六人もこれには絶句していた。
「何なのかしらねえ」
「あの、先生」
リーダーの梨花が先生に対して問うた。
「あのお城は」
「はい、あれが先生のお家です」
先生はにこりと笑って六人に答えるのであった。
「ここにずっと住んでいるんですよ」
「ここにですか」
「何とまあ」
春奈と美樹も言葉がなかった。
「ピンクのお城なんてはじめて見たわ」
赤音も流石に言葉がない。
「そうよねえ。幾ら何でも」
「それで先生」
華奈子がぼやいた後で美奈子が先生に問うた。
「何でしょうか」
「ここに泊めて下さるんですよね」
「はい」
先生はまたにこりと笑ってその問いに答える。
「そうですよ」
「そうなんですか、やっぱり」
「ううん」
六人は言葉を失った。何と言っていいかわからないのだ。流石にピンク色のお城までは想像がつかなかったのだ。まさかこんなものがあるのかとさえ思っている。
「さあ、皆さん」
小百合先生は六人の困惑をよそにお城の中に入るように勧める。
「どうぞ。我が家へ」
「わかりました」
「それじゃあ」
何はともあれ六人は先生の言葉に頷く。そうしてお城の門をくぐった。門も言うまでもなく鮮やかなピンクである。造り自体は見事であった。
「奇麗ね」
「そうね」
華奈子は美奈子の言葉に頷いた。
「形はね、少なくともね」
何はともあれ中に入る。六人の驚きは外観だけではなかったのであった。
第七十一話 完
2007・12・19
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