第六十四話
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第六十四話 ゴッキローチ生産
博士が小田切君を連れて来たのは暴走族の集会場であった。博士のことなぞ知らない彼等は忽ちのうちに博士と小田切君を取り囲むのであった。
「何だ、この爺さん」
「俺達に何か用かよ」
「この連中を使うんですね」
「左様」
博士は小田切君に対して答えた。
「これでわかったじゃろう」
「何かいつものパターンですね」
「どうせこの世の塵じゃ」
博士は平然と言い放つ。
「わしの実験材料に使えば偉大な科学の貢献になる。それをさせてやるだけじゃ」
「ですか」
「うむ。それではやるぞ」
「この爺」
暴走族達は博士の言葉に怒りを感じた。そうして思いきり攻撃姿勢を見せてきたのであった。
「俺達が塵だと!?」
「甘い顔してりゃあよくも」
「どうせ知能も低い暴れるだけが脳の奴等じゃ」
博士は相変わらず平然として言葉を続ける。
「このままわしの科学の礎となれ」
そう言って手に持っていたフラスコから不気味な黒い液体をばら撒く。それは何やらシュウシュウという音と恐ろしげな湯気を立てていたがそれを暴走族達にかけるのであった。
「うわっ!?」
「これ・・・・・・何だ!?」
「これでよし」
博士は彼等に薬をかけ終えて満足気に笑うのだった。
「百匹はいるな」
「百匹だと!?」
「俺達は・・・・・・ううっ」
彼等は忽ちのうちにゴッキローチになっていく。これで百匹できたのであった。
「どうじゃ。簡単にできたぞ」
「こういうわけだったんですか」
小田切君は完全にゴッキローチになった彼等を見て呟いた。
「何かまあ」
「さてと、これでよしじゃ」
平然として家に帰ろうとする。
「帰って新たな開発じゃ」
「はあ。今度は何なんだか」
それも気になるがそれよりも。新たなゴッキローチ達が早速暴れ出しているのが気になった。
「ここにもいたか!」
「容赦するな!」
「ピキピキピキーーーーーーーッ!」
「アブブブブブーーーーーーーーッ!」
暴走族だったゴッキローチと自衛官達の間で死闘がはじまる。そのゴッキローチ達は一匹残らず退治されてしまったのであるがもう博士にはそんなことはどうでもよいことであった。
「さてと、次はじゃ」
また何時の間にか発明していた携帯暴走族発見器のモニターを見ながら呟く。
「どの暴走族にしようかのう」
「何時までこの騒ぎが続くんだろう」
小田切君は思った。こうしてとりあえずゴッキローチは増え暴走族は減っていく。どちらがいいのかはわからないが。
第六十四話 完
2007・11・21
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