第六話
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第六話 おばちゃんとぽぽちゃん
二匹は華奈子と美奈子の大叔母、おばちゃんとぽぽちゃんの家にやって来た。まずはおばちゃんがにこやかに出迎えてきた。小柄でおっとりとした顔のお婆さんであった。
「おお、タロとライゾウやな」
おばちゃんは二匹を見てまずは目を細めてきた。
「よお来たな」
「おばちゃん、元気そうだな」
ライゾウは二本足で立っておばちゃんに挨拶をする。
「ああ、元気やで」
「それで今日は何の用で来たんや?」
痩せた顔のお婆さんが出て来た。これがぽぽちゃんである。
「はい、実は」
タロは礼儀正しく二人に言う。
「今度うちの御主人様が天本破天荒って博士と戦うことになりまして」
「何や、あの人まだ生きとったんかいな」
ぽぽちゃんはその話を聞いてこう言ってきた。
「長生きやな、ほんまに」
「そうやな。かなん話や」
「ってあの博士って幾つなんですか?」
「うち等が子供の頃にもう海軍さん相手に大暴れしとったわ」
おばちゃんがタロに言う。
「すっごい強さでな」
「陸軍さんも海軍さんも困ってたんや」
「そういや日露戦争の時にはもう悪名高かったそうだぜ」
ライゾウがタロに囁いてきた。
「その頃から爺さんでさ」
「一体幾つなんだろうね」
「さあ」
「それでその博士と華奈ちゃんや美奈ちゃんが戦うんやな」
おばちゃんが二匹に問うてきた。
「うん、それでさ」
ライゾウが言う。
「向こうにおいら達の兄弟がいて」
「何とかしたいんだ」
タロも言う。
「兄弟とはやり合いたくないし」
「そういうわけやな」
「うん、何かお願いできるかな」
「お安い御用やで」
ぽぽちゃんが言ってきた。
「じゃああんた等の兄弟にここに来るように言うわ」
「明日また来や」
おばちゃんがそう声をかける。
「ええな」
「明日来るだけでいいんですか?」
タロはそれを聞いて何か不安を覚えた。
「それだけで」
「充分や」
「明日今の時間に来たらええわ」
「じゃあわかったよ」
ライゾウも何か半信半疑だがそれに頷くことにした。
「また明日ね」
「ほなまた来や」
「サイダー用意しとくから」
そんなこんなで二匹が思いも寄らない程簡単に話は進んだ。しかしまだ二匹は狐に摘まれた顔であった。
第六話 完
2007・1・31
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