第五百四十八話
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第五百四十八話 マラソンと聞いても
華奈子達の通う小学校でマラソン大会が行われていることは小田切君の耳にも入っていた、当然博士も知っている。
だが二人とも華奈子達の通っている小学校が何処か知らないし知っていても何もしない。博士にとってクラウンはただの遊び相手だ。
だから博士はその話を聞いた傍から忘れて今は人間の精神のトラウマを攻めれば幾ら位で死ぬかという実験をして楽しんでいた。そして小田切君も。
研究室でパソコンを触っている。その彼にタロとライゾウが尋ねる。
「何か平和だね」
「何もないよな」
「後ろの研究室だと博士がまた人を殺してるけれどね」
「こっちは平和だよな」
「うん、そうだね」
小田切君も頷く、そしてパソコンの画面を見ながらコーヒーを飲んでいる。
そしてふとこう言った。
「近所のy小学校でマラソン大会やってるね」
「ふうん、そうなんだ」
「日常だよな」
「うん、どうでもいいね」
これで終わることだった。
「マラソンは健康にはいいけれど見るのはね」
「興味ないね」
「見る方はだよな」
「うん、どうでもいいよ」
「だよね、他人のを見てもね」
「興味がない奴はないからな」
タロもライゾウも素っ気無い感じだ。それで、である。
小田切君はコーヒーを飲みながらこうも言った。
「僕も健康の為に毎日運動してるけれどね」
「それでも観るのは、だよね」
「特にだよな」
「どうでもいいね」
やはり素っ気無い。
「それに小学生のそういう大会って体操服だから」
「観に行ったら捕まるよ、その白衣にスーツって格好は」
「どっからどう見ても危ない科学者だからな」
小田切君はともかく博士は確実にそうである。
「気をつけてね」
「町を歩くのも危ないからな」
「いつも警察に職務質問されるんだよね」
尚小田切君が人類史上最悪のマッドサイエンティストの研究所に勤務していることは皆が知っていることである。
「今度は何をするつもりだって」
「言われるんだね」
「そうだろうな、やっぱり」
「僕悪事には一切関わってないんだけれどね」
小田切君の仕事はあくまで常識の範疇だ、だがだった。
博士の研究所にいること自体が問題だった、それ故に。
「いつも聞かれるんだよね」
「ここにいるとそうなるから」
「まあ諦めるんだな」
二匹もこう突っ込みを入れる。博士と共にいるのも大変だ。
第五百四十八話 完
2012・12・5
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