第五百四十五話
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第五百四十五話 レースのはじまり
遂にマラソン本番となった、ピストルが鳴り女の子達が一斉に走りだす。勿論その中には美奈子もいる。
その美奈子に対して華奈子が言ってきた。とはいっても魔法でその頭の中に直接語りかけてくるのだった。
「いい?はじまったけれどね」
「ええ」
「絶対に焦らないでね」
それは禁物だというのだ。
「焦ったら負けだから」
「どんな順番でもなの」
「そう、まずは焦らないこと」
このことを繰り返し言う華奈子だった。
「完走することを考えてね」
「そのことが大事なのね」
「そう、そのことは覚えておいてね」
「それで最後まで、なのね」
「誰に抜かされても気にしないで」
華奈子も真剣だった。見れば彼女は走る女の子達の中で先頭の方を走っている、やはりその運動能力はかなりのものだ。
「あたしも気にしないから」
「華奈子もなの」
「そうよ。短距離もだけれど」
そちらもだというのだ。
「順位は気にしないようにしてるの」
「ただひたすらなの」
「そう、走る様にしてるの」
「それ前にも言ってたわよね」
美奈子はここで気付いた。
「そうよね」
「そうよ。とにかく前に進むことを考えてるの」
頭の中で美奈子に話しながら前に進む華奈子だった。見れば横も後ろも全く振り返ることはしていない。
そのうえで美奈子に言うのである。
「一度でも周りを見ない様にしてね」
「一度もなの」
「あと転んでも泣かない」
こうも言う華奈子だった。
「そのことも注意してね」
「転んでもなの」
「アクシデントは付きものだから」
「そういえば華奈子ってアクシデントに強いわね」
「頭の中に入れてるからね」
だからだというのだ。
「それで対応出来るのよ」
「ううん、私そういうのはないから」
まだ華奈子達には言っていないが紫の魔女だった頃からそうである、美奈子は案外咄嗟のことには弱いのだ。
だから今の華奈子の言葉に頷いて言うのだった。
「例えこけても諦めないわ」
「それでお願いね」
こう頭の中でやり取りをしてそして走る美奈子だった。大会は今はじまった。
第五百四十五話 完
2012・11・28
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