第五百四十三話
[8]前話 [2]次話
第五百四十三話 時間が迫る
五年女子のマラソンの時間が近付いていた。その中で華奈子は美奈子のところに笑顔で来てこう囁いた。
「いい?深いことは考えないで」
「完走よね」
「そのことを考えてね」
「立ち止まらない様にして」
「そう、絶対に立ち止まらないで」
そしてだというのだ。
「歩くこともしないの」
「あくまで走るのね」
「最後の最後までね」
「よく疲れて歩く人がいるけれど」
「マラソンは一旦歩いたらそれで終わりなの」
華奈子はこのことはしっかりと美奈子に告げた。
「とにかく走り続けるの」
「それが大事なのね」
「そうよ。ゴールまでね」
とにかく走り続けないと駄目だというのだ。
「走ってね。距離は」
「確か三キロよね」
「走れるわよ、充分」
華奈子は距離については絶対に大丈夫と言い切った。
「それ位だとね」
「華奈子じゃなくて」
「そう、美奈子がね」
こう美奈子に言う。
「だって毎日それ位走ってるから」
「あれっ、私そんなに走ってたかしら」
「走ってたわよ」
「そうだったの」
このことは美奈子にとっては意外なことだった。三キロといえば彼女にとってはかなりの距離だがそれでもだというのだ。
「私毎日走ってたの」
「毎朝ね。実は三キロってこれ位かなってね」
「コース決めてたの、華奈子が」
「そうだったの」
また微笑んで美奈子に話す華奈子だった。
「実はね」
「ううん、まさか毎日走ってたなんて」
「徐々に増やしていってたけれどね、距離は」
「そういえば最初はもっと短かったわよね」
「身体が慣れないと筋肉痛にもなるから」
「何か華奈子って考えてるのに」
「今田先生に教えてもらったのよ」
魔女の塾のあの先生にだというのだ。
「それでなのよ」
「先生ってスポーツのことにも詳しいのね」
「何でも知ってる先生だからね」
ただ魔法の先生であるだけではなかった。今田先生はそうしたことにも詳しく華奈子に教えてくれたのである。
第五百四十三話 完
2012・11・19
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ