第五十四話
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第五十四話 恐怖の大王
よりによって一番帰って来て欲しくない人物であった。多くの者がそう思った。
「来たか」
「遂に」
博士の研究所を監視する自衛官達が苦渋に満ちた声を漏らしていた。
「話を聞いた時はまさかと思ったが」
「どうします?」
若い兵士が幹部に尋ねた。
「狙撃しますか?相手が相手ですし」
「狙撃して死ぬような相手ならな」
その程度で死ぬような博士なのはもうわかっていることであった。
「どうせならバズーカで吹き飛ばさないとな」
「バズーカですか」
「ああ、それでもピンピンしているかもな」
そもそもその程度でどうにかなる相手を宇宙空間で隔離したりはしない。その狂気の頭脳だけでなくしぶとさまでも異常な博士であった。
「どうしたものやら」
「放置しますか」
先任下士官がそう提案する。
「我々の任務は監視だけですし」
「それしかないかな」
幹部は苦々しい顔でその言葉に頷くのだった。
「あの博士には」
「それでは」
「署長には報告しておこう」
とりあえずそれだけはすることになった。
「最低限な」
「わかりました」
とりあえず博士が研究所に戻って来たのは聞いた。行きがけの駄賃に何処ぞの国の将軍様の宮殿を完全に破壊したことはもうないことにして。
報告が終わると。遂に悪夢が研究所から出て来た。
「はっはっはっはっはっはっはっはっはっは!」
得体の知れない車椅子に乗りながら高笑いを浮かべる。
「行くぞ我が愛しき発明品よ!」
「騒いでいますけれど」
「いつものことだ、気にするな」
幹部が兵士に述べる。
「目が合うとそれだけで実験材料にされるぞ」
「ヤクザ屋さんよりタチ悪いですね」
そんなことを言いながら監視を続けているとやがてとんでもないことが起こった。
何と車椅子が突如変形した。そうして巨大な二足歩行のロボットになって派手に歩きだしたのだ。二本の腕には色々と武装がある。
「あの、あれは」
「わからんな」
幹部も今の風景には首を捻る。
「どうやったらあんな変形ができるんだ?明らかに巨大化しているが」
「そうですよね。サイド○○シャーみたいですよ」
「というかそのままだな」
「いざ、出撃じゃ!」
博士はそのサ○○バッシ○ーそっくりの謎の車椅子ロボットを駆って何処かへと消えた。自衛官達はそれも報告した。だがそれは遅かった。
街の暴走族が一人残らずミサイルとその巨大車椅子ロボットにより黒焦げにされたとのニュースが入ったのはすぐであった。日本中がまた大騒ぎになった。
「あの博士が」
「遂にか」
顔入りでニュースが伝えられる。しかも事件現場でロボットの上に立ちマントをたなびかせ高笑いする博士であった。
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