第五百三十五話
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第五百三十五話 使い魔達もまた
美奈子は華奈子と共に毎朝走っているがそこではそれぞれの使い魔達も一緒だ。当然タロとライゾウもである。
ライゾウはその四本足で走りながら足の肉球で汗をかきながら言う。
「ったくよ、運動ってのは嫌だね」
「ライゾウはまた動かな過ぎるよ」
そのライゾウを隣で走るタロが注意する。
「毎日食べて寝て食べて寝てだよね」
「それが猫なんだよ」
ライゾウは悪びれずにタロに返す。
「だからいいんだよ」
「怠けててもいいの?」
「猫ってのは一日の三分の二位は寝るんだよ」
寝る子、から『ねこ』になったとさえ言われている。
「それで何で起きないといけないんだよ」
「いや、それでもだよ」
「運動はしないと駄目だったのかよ」
「僕はそう思うけれどね」
「そりゃ旦那が犬だからだろ」
ライゾウは肩で息をしながらタロに返す。
「犬ってのはいつも動くものだよな」
「元々は狼だからね」
「猫は暇があったら寝るものなんだよ」
「だからこうしたジョギングも?」
「ああ、大嫌いなんだよ」
ライゾウははっきりと言い切った。
「食って寝てが一番だろ」
「全く。そんなことばかり言ってるともっと太るよ」
「極端に太らないといいんだよ」
「それでもいいって?」
「ああ、いいからな」
「何か。ライゾウって本当に」
タロは悪びれずに言うライゾウに呆れた顔でこう言った。
「猫だよね」
「あまりいい感じの言葉じゃねえな」
「うん、よくない意味で猫らしいって言ったんだけれどね」
「別にいいだろ。誰にも迷惑かけてないしな」36
「それはそうだけれどね」
確かにライゾウは怠け者だが誰にも迷惑はかけてはいない。ただし猫独特の悪さをして華奈子に怒られることは多い。
それで走っている華奈子も今ライゾウにこう言う。
「こらっ、お喋りしないの」
「ちぇっ、ちょっと位いいじゃねえかよ」
「真面目にしなさい、あんたのダイエットの為でもあるんだから」
「そんなの魔法でこうやって飛んでいけばいいじゃねえかよ」
「駄目、ちゃんと走るの」
「ご主人って変な時に真面目なんだよな」
挙句にはこう言う始末だった。
「お陰でおいらも苦労するぜ」
「あんたはもう少し真面目になるの」
こう華奈子に怒られる、ライゾウは今もライゾウである。
第五百三十五話 完
2012・10・24
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