闇の海
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<アレフガルドの海>
「海上は目印になる物が何もないから、陸地から離れると方向感覚を無くすぞ!気を付けろよ…」
星明かりもないアレフガルドの海を、人工の光を頭上に浮かべた船が1隻、荒波に耐えながら北上して行く。
精霊の祠で出会った、エルフのアスカリーに与えられた船は、精霊神ルビスの加護がある様で、アレフガルドの荒い海でも難破することなくアルル達を守っている。
そんな船上で操船を手伝うことなく船首で胡座をかいているリュカが、船長(仮)のモニカに対し注意を促す。
しかし誰の口からも『何もしてないクセに偉そうに言うな!』等という言葉は出てこない…
何故なら、アレフガルドの海ではリュカの存在は重要だからなのだ。
何もせず船首で座っているのだが、座っていてもらわなければ困るのだ…
リュカの作り出す、半径300メートル程を照らすレミーラが無いと、とてもじゃないが海は危険で、航海など出来る状況ではない!
ティミーなどは、『船旅で初めて父さんの存在が必要になりました。良かったですね』と笑顔で嫌味を言ってしまう程だ。
勿論、カンダタ・モニカ…ついでにラーミアもレミーラを使えるのだが、照らす範囲がダントツで広いリュカが、一番重宝するという…
「でも…まさか『妖精の笛』の情報が、こんな所で役に立つとは思いませんでした」
強烈な明るさに引き寄せられてくるモンスターを撃破しつつ、アルルがアスカリーの言葉を思い出しながら口にする。
精霊の祠で船を与えられた後、石化されているルビスを救うには、妖精の笛というアイテムが必要なのだと告げられた…
それは先日ドムドーラにて、アルルとティミーが仕入れた、役に立ちそうにない情報の中にあったアイテムの事なのだ。
「情報とは、如何なる時に役立つか分からない物なんだよ。パーティーを組んでいるのだから、みんなで共有し合うクセを付けた方が良いよ」
リュカは何時もの様に優しい口調で、若い勇者達にアドバイスをする。
「はぁ〜………」
するとティミーが大きな溜息をし、何やら落ち込み始めた。
「何だよティミー…溜息吐いて?」
「………父さんはズルイですよ!何でも出来る完璧な人で……僕は何一つ父さんに勝てやしない!………落ち込みますよ」
「はぁ?いきなり何だよ…」
リュカは息子の呟きに驚き、どうすれば良いのか少し困っている。
「僕は『妖精の笛』の情報は、絶対に意味のない事だと思ってました。でも父さんは…父さんだけは、アレが重要情報だと見抜いてました。…父さんの様になりたい…追い抜いてやりたい…そう思ってても、近付く事すら出来そうにない!…落ち込みもしますよ」
俯きながら悩みを打ち明けるティミー。
そんな息子を思わず抱き締め頭を撫でるリュカ…
「バカだなぁ〜…お前は凄い男だよ。僕を追
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