第五百二十六話
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第五百二十六話 お母さんのアドバイス
相変わらずモーツァルトの話ばかりする華奈子と美奈子だった。今日は家のリビングでお菓子と校舎を楽しみながら楽譜を開いている。
その二人にお母さんがこう言ってきた。
「あんた達いい?」
「いいって?」
「どうしたの、お母さん」
二人は同時にお母さんの言葉に応えて顔を向ける。お母さんは華奈子と美奈子を合わせてそのまま成長した様な外見だ。
「お手伝い?」
「お庭の草抜き?お風呂場の掃除?」
「どちらでもないわよ」
お母さんはお手伝いではないと言う。
「あんた達にとってはいいことにね」
「じゃあ何なの?」
「何か他にあるの?」
「あんた達最近モーツァルトばかりだけれど」
お母さんが言うのはこのことだった。
「一つお母さんが思うことはね」
「っていうと?」
「何なの?」
「楽しみなさい」
こう二人に言うのである。
「いいわね、そうしなさい」
「楽しむって音楽を?」
「モーツァルトをなの」
「そう。元々クラシックだって娯楽だったから」
音楽は聴いて楽しむ為にある。クラシックにしても欧州の貴族達の楽しみとしてはじまったのである。オペラもまた然りだ。
「肩肘張らずにね」
「自然体?」
「っていうと」
「そう言うかも知れないわね。とにかくね」
「そんなに力張らなくていいのね」
「楽しめばいいの」
「二人共楽しんでるというよりね」
お母さんはもう見抜いていて言う。
「必死っていうかね」
「確かに。言われてみれば」
「そうよね」
二人もそう言われると心当たりがあった。それならだ。
「あたし達ちょっと今は」
「モーツァルトモーツァルトって必死になってね」
「そればかりになってるから」
「注意した方がいいわよね」
「そうよ。楽しんでね」
お母さんは実際に二人にそうすればいいと告げる。
「音楽でも何でもね」
「何でもってことは」
「つまりは」
二人もここで気付いた。そしてこの気付いたことが二人だけでなく他のクラウンのメンバーにも影響していくのだった。
第五百二十六話 完
2012・9・17
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