第五百二十四話
[8]前話 [2]次話
第五百二十四話 歌ってみた結果
クラウンはモーツァルトのその曲を実際に演奏して歌ってみた。勿論コーラスも入れてそうしたのである。
最後まで歌ってから華奈子はここでも美奈子に問うた。
「どうかな」
「今の演奏と歌の感じね」
「うん、これでいいのかな」
「そうね。点数で言ったら」
「どれ位?」
「七十二点かしら」
「いいのよね、それって」
今の華奈子の大体の平均点だ。これまでは六十を下回る位だったのが今では七十点を超える位になっているのだ。
「まあそんなとこって感じ?」
「ええ、少なくとも悪くはないわね」
「そうよね。別にね」
「ましてや今回ははじめてだから」
はじめての演奏であり歌だ。それで七十点だった、それではだというのだ。
「かなりいいと思うわ」
「合格なのね」
「ええ、ただね」
「ただって?」
「七十二点だから」
美奈子はその点数をまた言う。その点数に言いたいことが入っていた。
「あと二十八点もあるのよ」
「まだまだ点数は取れぬのね」
「音楽って多分百点より上のある世界だけれど」
「とりあえず二十八点よね」
「そう、まだ取れるから」
それができるというのだ。
「もっともっと頑張ればね」
「よくなるのね」
「はじめてでこの出来だから」
美奈子は華奈子の歌を主に聴いて言っている。実は自分の歌とフルートへの得点は七十二点よりさらに低いがこのことは言っていない。
「頑張ってね」
「それじゃあね。ただ美奈子もね」
「私も?」
「七十二点位かな。あたしの歌がそれだと」
美奈子が自分の歌とサックスを聴いての得点だと直感で悟っての言葉だ。
「美奈子もね」
「私もなのね」
「そう。皆もよね」
「ええ。そうよ」
「じゃあ皆で頑張って七十二点からさらにね」
「上を目指せばいいっていうのね」
美奈子も応えて言う。
「皆で」
「うん、やっていこう」
華奈子はここでも笑顔で美奈子と他の四人に言う。クラウンは六人でモーツァルトのアレンジを進めていくのだった。
第五百二十四話 完
2012・9・14
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ