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対決!!天本博士対クラウン
第五百二十三話

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                 第五百二十三話  演奏をしてみて 
 一度アレンジしてみたモーツァルトの曲をクラウンで演奏して歌ってみることにした。場所は小学校の音楽室だ。
 既に用意された楽器を手にして華奈子はこう美奈子に言った。
「ダンスはあれよね」
「うん、まだね」
 美奈子も考えていないと答える。
「私も全然ね」
「あたしも。けれどよね」
「そう。ダンスは後でいいから」
「まずは歌と演奏よね」
「この二つがあってこそだから」
 今回のアレンジではダンスはそうした順番になるというのだ。
「だから。いいわね」
「うん、それじゃあね」
「まずは歌ってみましょう」
「そうね。ただ今から歌う曲だけれど」
 華奈子はサックスを手にして隣にいるフルートを持っている美奈子にこうも言う。
「恋はどんなものかしら、よね」
「フィガロの結婚の曲よ」
 第二幕で歌われる曲だ。ケルビーノというソプラノかメゾソプラノが演じる少年、つまり女が男を演じる役だ。
 この曲について華奈子はこう言うのである。
「あたしと美奈子の声域?よね」
「それのことね」
「うん、あたしソプラノなのよね」
「私もね」
 二人共声域は同じだった。
「ソプラノになるのよ」
「声が高いのよね」
 声域が高い順からソプラノ、メゾソプラノ、アルトとなる。この三つの声域もそれぞれ細かい声域の違いがある。
「そうよね」
「実は皆だけれどね」
「ソプラノなのね」
「そう。ソプラノだから」
 それでだと美奈子も言う。
「声は高く出していいから」
「この曲ソプラノでも歌えるのよね」
「歌えるからそのことも安心して」
「それじゃあ。今からね」40
「ええ、歌いましょう」
 美奈子はこう華奈子に話す。そうして。
 華奈子に言ってから演奏の四人にもこう言うのだった。
「今から。一曲ね」
「うん、それじゃあね」
「演奏してコーラスして」
「そうしてみよう」
「まずは一曲ね」
 アレンジしたその曲を歌うことをはじめるのだった。この曲はテストであり全てはここからはじまることだった。


第五百二十三話   完


                    2012・9・14
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