第五百十七話
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第五百十七話 アレンジをしながら
ふとだ。華奈子は自分の教室でクラウンのメンバーとモーツァルトについて話をしながらこんなことを言った。
「曲のアレンジもいいけれど」
「それでもなの?」
「どうかっていうのね」
「そう。歌詞はどうするの?」
そのことを言うのだった。
「これまで曲のことばかり考えたじゃない」
「そうね。曲は聴いてたけれどね」
「それでもね」
梨花と美樹も華奈子のその言葉に頷く。
「歌詞については今までこれといって」
「考えてなかったわね」
「でしょ?歌詞はどんなのかしら」
華奈子は首を捻った。六人でクラスの後ろに立ってそのうえで音楽のことを話しているのである。その中でだった。
その華奈子に美奈子が言う。
「昔の翻訳ならあるけれど」
「昔って?」
「戦前の翻訳があるわよ」
美奈子が話に出すのはそこからのことだった。
「多分昭和の最初の頃とかだけれど」
「昭和の最初?」
「見たら何か文章が違うのよ」
美奈子は確かに優等生だがそれでも小学生だ。だからまだ文章の古さとかそういうことはわからない。それでこう言ったのである。
「変な文章なのよ」
「そんなに変なの?」
「一回見てみる?」
話すより見る、そういうことだった。
「そうしてみる?」
「ええ、それじゃあね」
華奈子も頷く。ここで春奈が赤音に対してこんなことを言った。
「昔の言葉って古典よね」
「中学の授業よね」
「うん。それだったらね」
それならとだ。春奈は赤音にさらに言う。
「私のところのお兄ちゃんか赤音ちゃんのお姉ちゃんならね」
「私達でわからなくてもよね」
「わかると思うけれどどうかしら」
春奈は六人の中で一番頭がいい。これはただ学校の成績がいいだけでなく頭の回転もいいという意味でもある。
それでこう考えて言ったのである。
「私達でわからない場合はね」
「教えてもらうのね」
「そのことも考えておくといいと思うわ」46
二人でこう話すのだった。そうして美奈子が他の五人に言う。
「じゃあお家でね」
「うん、見よう」
六人は華奈子と美奈子の家に行ってそこで見ることになった。モーツァルトの歌の歌詞を。
第五百十七話 完
2012・8・22
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