第五百九話
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第五百九話 音楽室で
華奈子達クラウンの面々は放課後に学校の音楽室に入った。そこに入る時に赤音がリーダーである梨花に尋ねた。
「入ってもいいの?このお部屋に」
「あっ、もう先生には許可を得てるから」
部屋に入る許可はもう貰っているというのだ。
「だからね」
「大丈夫なのね」
「うん、安心して」
先生の許可を得ているから大丈夫だというのだ。やはりこうした時は梨花はしっかりとリーダーらしいことをしてくれる。
その梨花が皆を部屋の中に入れてそれからだった。
六人で音楽室に掛けられている絵を観た。どの学校の音楽室にもある有名な音楽家達の肖像画である。
その中に白い髪の左右をロールにさせた若い男の絵があった。その彼こそが。
「モーツァルトね」
「そう。この人がね」
六人がアレンジしようという音楽を作曲した人物だ。美奈子が華奈子に答える。
「ウォルグガング=アマデウス=モーツァルトよ」
「凄い名前ね」
「凄いのは名前だけじゃなくて性格もだったのよ」
美奈子は華奈子にモーツァルトの音楽的業績ではなく性格を話した。
「何ていうか。変態的で子供っぽくてね」
「確かモーツァルトって偉い人よね」
つまり偉人だというのだ。小学生が教えられる偉人の中には絶対に入っている歴史的人物の一人ではある。
「そうよね」
「だけれど性格的には随分変な人だったらしいわ」
「ううん、イメージ狂うわね」
「ベートーベンなんかも凄かったらしいわ」
モーツァルトの横に随分気難しそうな顔があった。ライオンに似ている。
「頑固で気難しくて自信の塊で癇癪持ちだったのよ」
「凄く付き合いにくそうな人よね」
「そうだったみたいよ。人間関係もよくなかったらしいし」
実際にそうだった。シューベルト、やはり今この音楽室に彼の肖像画もあるが彼は多くの友人に囲まれながらも孤独だったと言われている。
そしてだ。ベートーベンはというと。
「物凄く敵が多くて一人ぼっちだったらしいわ」
「お友達いなかったのね」
「嫌ってくれる人は一杯いたけれど」
「そうした人だったの」
「そう。音楽家って変わった人が多いから」
「イメージ違うわね」
「そういうものよ。偉い人でも人間だから」
だからだと言う美奈子だった。
「おかしなところもあるわよ」
「モーツァルトもそうだったのね」
「女の人みたいな顔してるけれどね」
「確かにそんな感じね」
華奈子も美奈子もそのモーツァルトの肖像画を観ていた。こうして音楽室に絵が掛けられていると確かに偉人に見える。しかし偉人であっても人間性が聖人君子とは限らないのだ。
第五百九話 完
2012・7・
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