第五百一話
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第五百一話 忘れたまま
ライゾウとタロ、それにタミーノとフィガロは華奈子と美奈子、自分達の主の家に無事帰っていた。そのうえで何もなかった様にくつろいでいた。
四匹は今は家の庭で仲良く日向ぼっこをしている。その中でふとライゾウが言った。
「なあ。今度な」
「うん、何かな」
「また歌劇場行かないか?」
こうタロ達に提案したのだった。
「今度な」
「そうだね。いいね」
最初にその提案に賛成してきたのはタロだった。そのうえでこうライゾウに言った。
「あの舞台よかったしね。それじゃあね」
「そうだよな。モーツァルトのオペラって凄くいいんだな」
「いいのはあの作品だけではありませんよ」
「他の作品もなのです」
タロに続いてタミーノとフィガロが言ってきた。彼等はモーツァルトのことを話す。
「モーツァルトに駄作なしと言われています」
「それは歌劇においてもです」
「じゃあどれ観てもいいんだな」
「そうです。彼は幼少の頃から歌劇も作曲していますが」
「その頃のものも素晴しいのです」
「幼少ってまだ子供の頃かよ」
ライゾウは話を聞いてこう考えた。そしてそれはその通りだった。
「おいら達の御主人の歳よりもまだ、だよな」
「小さい頃からです」
「歌劇を作曲していました」
「殆ど化け物だな」
ライゾウからしてみればだった。そこまでいけばだ。
「まだ酒の味も知らない歳で歌劇かよ」
「それどころかまだ小学生の年齢です」
「その幼さでもう作曲していたのです」
「嘘じゃないんだよな」
ライゾウは真剣に疑っていた。モーツァルトのその凄さを。
「モーツァルトってそんなに凄い作曲家なのかよ」
「ですから天才と呼ばれていました」
「それも正真正銘の」
天才という言葉はモーツァルトの為にあると言う人物までいる程だ。とにかくモーツァルトの音楽的才能は歴史上のどの人物よりも上であろう。
その天才をだ。タミーノとフィガロはライゾウに話すのである。
「僅か三十五年の生涯ですが」
「作曲した曲の数はかなりのものです」
「それで駄作もなしか」
「本当に凄いね」40
タロもモーツァルトの才能には唖然となっている。
「まさに天才だよね」
「あれだけの音楽作曲しただけでも凄いのにな」
「じゃあまた今度ね」
「ああ、モーツァルトの曲聴きに行くか」
「どの作品もお勧めですよ」
「モーツァルトの音楽に外れはありません」
タミーノもフィガロも太鼓判を押す。だが。
四匹共忘れていた。何故モーツァルトの音楽を聴けたのか。そのことは完全に忘れてしまっていた。そしてそのことに気付くこともなかった。
第五百一話 完
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